マスター・クラス | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

マスター・クラス

来た来た、イロエロ動いて来たぞ・・。

いい感じ。

何があってもケツはまくりませんから!

人生の教訓。

2011/7/20

20世紀の伝説のオペラ歌手マリア・カラス。私生活では20世紀最大の海運王オナシスと大恋愛するなど、結婚、離婚、不倫を繰り返した恋多き女。そんな波瀾万丈なカラスの人生を描いた芝居「マスタークラス」が、ブロードウェイで再上演された。95年の初演時、 トニー賞では最優秀作品賞を受賞。日本では”徹子の部屋”の黒柳徹子主演で翻訳上演もされた。

物語の舞台は、71年、NYにある世界屈指の名門校ジュリアード音楽院。カラスはオペラ歌手引退後、そこで若い歌手の育成をしている。しかし、その指導方法は超奇天烈。皮肉タップリ、上から目線。その手強さに生徒はパニックをお越し、間抜けな返答で会話が成立しないありさま。しかも、過去の栄光を忘れられない彼女はレクチャーの最中、過去に栄光に浸り、心ここにあらず。そんなマスタークラスなのだが・・・。

主人公マリア・カラスに扮したのは、「ジプシー」のトニー賞女優タイン・デイリー。ほぼ一人芝居状態で舞台にでずっぱり。アドリブ的な観客との絡みもあるし、女の幸福を投げうったマリア・カラスの誇り高い人生を一生懸命に演じている。その頑張り、褒めてあげたいのだけど、世界のオペラ界を席巻した正真正銘のセレブ役なのに、歩き方がとても野暮ったいし、立ち振る舞いにも気品がない。

脚本を手掛けたのは、テレンス・マクナリー。新作ミュージカル「キャッチ・ミー、イフ・ユー・キャン」は大コケだったけど、「蜘蛛女のキス」(93年)、「ラグタイム」(98年)など、数々の名作を世に送りだしたベテラン。NYタイムズは本作を、「マリア・カラスの人間像に迫る心動く芝居」と絶賛しているようだけど(最近NYタイムズ紙のベン・ブラントリーの批評はあてにならない)、とんでもない!華かな名声の裏にある不幸な私生活と、歪んだ恋愛などに至ったワケなども全くわからずじまい。カラスの紆余曲折の人生を十分描けていないし、キャラも自己顕示欲の塊で根性のひん曲がったただの意地悪オバちゃん。当の本人がこれを見たらブチ切れだぜよ!?

私が観劇した日はインテリ風の白人高年齢者で劇場はほぼ満席(加齢臭が充満した劇場に2時間15分は辛かったわ)退屈気味な私とは対照的にマリア・カラスをリアルタイムで知っている観客はご満悦のご様子だったね。カーテンコールでは大声援のもとスタンディング・オーベーション。
私もそのタイミングで席を立ち、急ぎ足で自分の店へ向かったわ。私の観劇後から数週間、本作は、大きな話題にもならず、静かに消えてった。ほらみたことか!