スパイダーマン(前編) | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

スパイダーマン(前編)


外に出ないとお天道様に叱られそうなほど、素晴らしい初夏の陽気となったニューヨーク。皆さんは、いかがお過ごしでしたか?

さて、
制作費に70 億円をかけたのに、トニー賞でたった2部門(衣装とセットデザイン)のノミネートに終わった話題の超大作ミュージカル『スパイダーマン』!



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40年以上前に刊行された“スパイダーマン”の漫画本”をもとにした舞台用に書かれた脚本は、演出家ジュティ・ティモア(「ライオン・キング」98年)とグレン・バーガーが共同で執筆。

物語の舞台はNYのクイーンズ地区。高校生ピーター・パーカーはクラスのいじめられっ子。ある日、大学の科学研究施設を訪問した彼は、遺伝子組み替えの蜘蛛に刺されてしまう(その罠を仕組んだのは、ギリシャの神の怒りに触れて蜘蛛女に変えられたアラクネー。暗黒の世界で蜘蛛の巣を作るだけの不幸な日々に辟易していた彼女は、寂しさのあまりピーターをスパイダーマンにして自分の恋人にしようと企んだ)。

翌朝、超人的な能力を身につけたピーター。いじめっ子に仕返しし、思いを寄せる女の子MJを自分に振り向かせるため、超人技でお金を稼ぎ車を購入する。そんな自分の力に溺れていたのもつかの間、親代わりの叔父が、何者かの車にひき殺されてしまう。叔父の死を境にビーターは、正義の味方スパイダーマンとして世の中の悪事をぶっ潰すことを決意。その活躍ぶりはマスコミに紹介され、ヒーローとなるのだが、それを知ったノーマン・オズボーン博士は、スパイダーマンを生み出した自分の研究が、何者かに盗まれたことに激怒。その復讐をするため、博士は未完成の研究薬を自ら人体実験した結果、彼は悪のモンスター、グリーン・ガブリンに変貌を遂げる。テロ行為を連発し街を破壊し始めた彼を阻止しようとスパイダーマンことピーターは戦いを挑むのだが・・・。

『スパイダーマン』の舞台化が発表されたのは2007年。そのドリームプロジェクトに歓喜するミュージカルファンとは対照的に、演劇関係者の多くは手から飛び出す蜘蛛の糸やビルの合間を飛び回るフライングはどうするの・・と心配する声の方が多かった。とはいえ、演出家を手掛けるのは演劇関係者の度肝を抜いたメガヒット作「ライオン・キング」(97年)の立役者ジュディ・ティモア。彼女の天才的な発想で製作されるならうまくいくかもと、僅かなながら期待はしていたのだけど、やはり大苦戦。ブロードウェイ史上最高額の製作費40億円(過去最高は25億円の「シュレック」)を投じたにもかかわらず、予算不足で一時製作がストップ、プレビューは延期されるわ、その二週間前のお披露目会ではフライングに失敗した俳優二人が骨折する大けが。またもや公演は延期されるという紆余曲折をへ一般に公開にこじつけたわけよ!後編につづく。