芝居「GOOD PEOPLE」 | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

芝居「GOOD PEOPLE」

最近ブロードウェイの劇場でよく遭遇する観劇マナーの悪い客。

上演中にもかかわらず、イスに足をぶつけてくる人、
お喋りする人、
テキストを頻繁にチェックする人、
写真を撮る人etc。
そのほとんどが””女””(あえて女性とはいわない)。
過日、自分の席につく為、先に座っている女性に
『Excuse us』と声をかけた(確かに開幕ギリギリだったが)
席を立とうとしないばかりか、逆キレされ
挙げ句の果てに汚い言葉で罵られたから。
おかげでその当日のショーは台無し。
気分よくショーを観る為にも劇場には
少し余裕をもって(20分前が理想?)劇場に到着、観劇に臨みたい。


さて、もう1年前の話になる
ブロードウェイのストレート・プレイ『GOOD PEOPLE』が
とても印象に残る芝居だったので紹介しよう。


物語の舞台は、現代のアメリカ、アイルランド人が多く暮らすボストン南部の貧困地区。そこで育ったマーガレットは高校卒業後、すぐに妊娠。シングルマザーとなるが、生まれて来た子供は重度の身体障害者。低学歴の彼女は、生活のため99セントストア(日本の百円ショップ)の店員として働くのだが、突然解雇を言い渡されてしまう。人生の崖っぷちに立たされた彼女は、仕事をえるためにある医者を尋ねると・・偶然にもその医者は、高校時代に数ヶ月つき合っていた元カレ、マイクだった。不運続きのマーガレットに彼は優しく、自分の子供のバースディ・パーティに彼女を招待する。しかし、その前日、マイクの子供は病気になりパーティをキャンセルせざる終えない状況に。マーガレットにもその旨を連絡したのだが、彼女は彼が自分を避ける為にウソをついていると思い込み、故意に彼の家を尋ねるのであった・・・。


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ボストンを描いた映画で、私の頭に浮かぶのは、ベン・アフレックが監督・主演を兼任した「ザ・タウン」(10年)。ボストン出身のベン・アフレックならではの切り口で、貧富の差が激しいボストンの片隅で過酷な生活をする男の姿を描いた作品は、アフレック久々のヒット映画よね(一発屋じゃないかったのね)。そんか彼同様に、本作『GOOD PEOPLE』の脚本家デヴィッド・リンゼイ=アベアー(「シュレック」08年、「Rabbit Hole」06年)もボストンっ子。ボストンの表も裏も知り尽くした彼は町の今をリアルに描いただけに留まらず、そこで暮らす貧困層の白人の人物像も、極々普通に描いている。本作に限って、私は芝居を”鑑賞した”という感覚より、むしろ、“目撃”したような錯覚にとらわれた。

粒ぞろいのアンサンブルは文句無し。特にマーガレットに扮したフランシス・マクドーマンド(「ファーゴ」96年)の演技は相撲でいったら横綱級。卑劣で意地悪、でも臆病。何かにいつも脅えている劣等感の塊のような複雑な精神状態の役になりきった心揺さぶる演技は忘れ難いったらありゃしないわ。役者の質が高いブロードウェイとはいえ、彼女ほどの名演技にはそうお目にかかれるものじゃない。

話はそれるけど、有名女優もお忍びで訪れる”NYの恋愛駆け込み寺”的な私の元には、結構頻繁に女性からセックスや恋愛の相談を受けるのよ(元シアワセ結婚相談所の恋愛カウンセラーだから)。その経験からいわせていただくと、男関係が下手な女性に共通していることはネガティブ思考。自分はつねに一番だという強いポジティブな意識を持てば、結構人間関係ってうまくいくものもなのよ。それはいいのだけど、主人公のマーガレットのその後の人生はどうなったのかしら・・気になるぅ。非営利演劇団体のマンハッタン・シアター・クラブさんにパート2をお願いしたい。

あーーー,演出したい。
良い仕事する自信あり!