妖艶な女装オカマの狂演「プリシラ」 | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

妖艶な女装オカマの狂演「プリシラ」

アッという間に桜は散り、もう4月もおわり・・・
そういえば、私のNY生活も4月28日で18年目に突入さ。
周りを見れば、多くの友人はさっさと帰国しているし・・
私も、NYに暮らす日本人の中で、立派な古株。
ちょっと複雑な心境・・


さて、昨年開幕したミュージカルで生き延びているのは数作品。
その中のひとつが・・・
妖艶な女装オカマの狂演が見どころの『プリシラ/ Priscilla Queen of the Desert』。

『プリシラ』といえば、94年公開のオージー産の映画が本家本元(故パトリック・スウェイジ主演映画「3人のエンジェル/To Wong Foo, Thanks for Everything!」との区別がつかん)。舞台版は06年に本国オーストラリアで世界初のプレミア公演が行われ、3年後にはロンドンのウエストエンドでも開幕。そして3月20日、ブロードウェイにも進出を果したわけ。

物語の舞台はオーストラリア。ゲイでありながら妻子持ちのティックは、ドラッグ・クイーンとして生きる為に、妻マリアンと息子を田舎のリゾート地に残し、ひとりシドニーで出て来ていた。そんなある日、マリアンは彼女が経営するカジノでドラッグ・ショーをやってもらうことを口実に彼と息子を再会させよう計画している。オファーを受けた彼は、トランセクシャル(竿、玉なし)で初老のバーナデットと、若さ溢れるドラッグ・クイーンのアダムを誘い、内陸の砂漠にあるリゾート地を目指すことに。大型バス、プリシラ号に乗り込みオーストラリア横断の旅へ出発するのであったが・・・。

舞台の脚本は、オリジナルの脚本・監督を手掛けたステファン・エリオットと映像部門で活躍するスコットランド出身の脚本家アラン・スコットが共同で執筆。舞台版もゲイ差別をバネに力強く生きる三者三様のドラッグ・クイーンの人間像を克明に描写した映画版と同様に表現されると期待していたのだけど、実際は映画版をなぞっただけ。キャラクターの人間像がヴィヴィットでないばかりか、新たな発見も驚きもないストーリー。心を感動させる要素にも欠けた薄っぺらい作品に成り下がっている。

音楽はマドンナ、ビレッジ・ピープル、シンディ・ローパーなど、80年代のポップ系音楽にフューチャーした選曲(私は“I Will Survive”がお気に入り)。これらの曲をリアルタイムで聴いていた人にはたまらない選曲でしょう。だけれど、ただ懐メロを垂れ流す演出は、まるでカワイ子ちゃんから加齢臭がキツそうな初老のゲイまでが集う場末感漂うキーウエストのゲイクラブ。

オーストラリアで活躍するロス・コールマンの振付もねぇ~。物語と振付の関連性など全く感じられないし、その動きのほとんどは夜中にテレビ通販で売られている胡散臭いビデオのエアロビクスのよう。独特の美意識から生まれた天才振付家フォッシーの振付と比べると天と地の差。まあ、唯一褒めるとしたらティム・チャペルとリジー・ガーディナーの豪華絢爛なコスチームくらい・・。最近、日本のニュースばかりTV見る生活が続いていたから、派手な衣装の色使いが心地よかったのは確かね。

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客層は、隠れホモの噂も飛び交う石○都知事が毛嫌いするホモ、ホモ、ホモ、ホモだらけ(中には女装している汚いオッサンも姿も)。作品の良し悪しは置いといて、ゲイを描いた作品だけに、しばらく間は全米ホモの動員で安定した興行は続きそう。たけど保って1年。が、私の予想は見事にはずれ、本作は現在も上演中。この感じだと夏くらいまで??