『ヴィーナス・イン・ファー』 | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

『ヴィーナス・イン・ファー』

日本からのお土産。
相手を思う気持ちがこもったものは何でもうれしい。
けれどあえていただくのなら好きなもの。
博多西洋菓子“博多通りもん”がいっちゃんうれしいと。

過日、それを知ってか福岡在住の知り合いが
博多通りもんを買ってくれたくれた。
しかぁし、パッケージをよく見ると・・・
”博多通りもん”じゃなく“博多じまん”(泣)。
頂いておいて、んなこと言う立場じゃないんだけど、
“通りもん”と“じまん”は、
わたしにとってロールスロイスと自転車、
ファーリーブスと嵐くらい違うのよ。
さらにヘルスでいうとカトパン似を頼んだら、
泉ピン子が出て来たくらいショックことなわけ。
次回は間違えんといて!

そこまで食物に拘る私、エッチにもこだわりがあんの。
ここだけの噺、私の場合、
エッチの時ご主人様にいたぶられることで喜びを感じるM。

縛られて、
しばかれて、
汚い言葉で罵られ、
「どこが楽しいのか」って思うでしょう!?
異性愛者がいて同性愛者がいる、性的ファンタジーは十人十色。
そこで男女のSMの世界を描いた二人芝居『ヴィーナス・イン・ファー』を紹介するね。


原作は、オーストリアの小説家ザッハー=マゾッホ(1836~1895)の小説「毛皮を着たビーナス」。世界初のSM小説を人といわれている作品よ。それを劇作家ディヴィッド・アイヴスが現代風の脚本に翻案し、昨年はじめにダウンタウンにある199席のオフ劇場で初演。その風変わりSM芝居は、2度に渡り公演が延長されるなど大評判となり、今シーズン満を持してブロードウェイに進出してきたわけよ。


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物語の舞台は現代NYのオーディション・スタジオ。劇作家兼演出家トーマスは作品のイメージにあう女優を見つけることができず、半ば諦め帰宅しようとする。そこに一人の女優が遅刻して登場。彼女を無視してフィアンセが待つ自宅に帰ろうとするトーマスだったが、貧乏で仕事がないその女は、ありとあらゆる手段を使いオーディションをしてもらおうと食い下がる。会話の流れでしかたなく始まったオーディション。不思議なことに彼女は脚本のコピーを持っているだけでなく、脚本をほぼ完璧に暗記している。いつのまにかトーマスは彼女の世界に引き込まれ、演出家として雇う側にいるはずなのに彼女の奴隷状態に。しまいには主導権も握られ、私生活のことまで彼女に吐き出させてしまう・・・。

女優ヴァンダに扮したのは、ニナ・アリアンダ。つい最近までパッとしなかっ無名舞台女優よ。ところがどっこい、本作で彼女は完璧なまでに主人公のキャラを造形。スタジオの外は暴風雨をいうシチュエイションなんのに、雷などの効果音を打ち消すほどの、もなっている芝居の設定なのに、そんな効果音が耳に入って来なくなるほどの熱のこもった演技で観客の魅了するの。次々と展開する赤裸々トークの中で彼女は、ドスのきいた女王様の怒鳴り声と別人のような猫なで声を使い分けてSMの世界の底知れない不気味さを醸し出しているのよ。ここまで彼女が演技に没頭できたのは相手役ヒュー・ダンシーのM男の演技もアリアンダに負けず劣らず素晴らしかったからだからといえるわ。1時間30分の二人の弾丸トークについてくのは大変だけれど、何が起こるかワクワクドキドキさせてくれる脚本もリアルなSMの世界を表現した演出もお見事。今シーズン上演された芝居の中で最高の出来よ。観劇したら、SMにのめるこむ人も出て来る筈よ。アタシも今度機会があったら新宿二丁目のSMゲイバーで縛ってもらおうっと。公演は2011年12月18日までの限定公演でした。