ミュージカル「キャリー」 | トシ・カプチーノ。 オフィシャルブログ Powered by Ameba

ミュージカル「キャリー」

三度のメシより好きなスポーツクラブの霧の間(オフのミュージカル「ネイキッド・ボーイズ・シンギング」にも登場するスチームルーム)。先週行ったら、保健所の警告状が扉にベッタリ貼られ立ち入り禁止になっているの。まあ組合員系の利用者が羽伸ばし過ぎだからしゃあないとはいえ、霧の間好きが高じて米国に移住した私にとって、霧の間がないスポーツクラブなんて”クリープのないコーヒー”(古ぅ、汗)ってことで即クラブを退会。新しいクラブを物色中なの!?しばらくはセントラルパークでの早朝ランニングでガマンするわ!

さて、誰にでも記憶に焼き付いているホラー映画が一本や二本あるわよね。それが私の場合、1976年に公開された「キャリー」。スティーヴン・キングのベストセラー小説を映画化したものよ。”おかま”だとクラスメイトにからかわれていた多感な中学時代、主人公キャリーと自分がオーバーラップしちゃって,何度も見たのを覚えてる!それほど「キャリー」ファンなんだけど、寝耳に水だったのは、同作が88年にブロードウェイで舞台化されてたこと。私としたことが知らなかったのよ。でもね、たった5回で閉幕したっつうから無理のない話でしょ。あれから24年。そんな駄作が再演版としてオフで蘇ったと聞いて、興味シンシン観て来たわよ。

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舞台は、アメリカの郊外にある、とある高校。冴えない容姿のキャリーは陰気でオドオド、いつもクラスメイトに虐められていた。ある日、バレーボールの授業後、シャワーを浴びていたキャリーは初潮を経験。キリストの狂信者である母親から性教育を受けていなかった彼女は滴り落ちる血に気が動転し、クラスメイトに助けを求めるが、逆に笑い者にされてしまう。デジャルダン先生は、その事実に憤慨し、授業中、キャリーを茶化した生徒全員に謝罪をさせる。がしかし、いじめの主犯格クリスは謝罪を拒否。デジャルダン先生は、その罰として彼女のプロムパーティへの出席を禁止する。キャリーを逆恨みしたクリスは、その仕返しをする為に,プロムパーティで彼女に悪事を働こうと豚の生血を用意して・・・。

キャリーを演じたのは、2009年の作品立ち上げから本作に関わったモーリー・ランソン(「エルサレム」)。キャリーのオリジナルとして強烈で完璧なまでの役作りをしたアカデミー賞女優シシー・スペイセクに負けないよう迫力ある演技をみせてようと頑張っているの。だけどランソンのキャリーには悲壮感がなく、ただ負けん気の強い高慢ちきな女の子にしか見えないの。母親マーガレットを演じたマリン・メイジー(「キス・ミー・ケイト」も同様。ブロードウェイのスターだけあって、歌はお上手、女優オーラもあるけど、この役に限っては役作りが中途半端。まさか、イヤイヤ仕事していたわけではないと思うけど・・?

脚本家を手掛けたのはローレンス・D・コーエン。本作を再演するにあたり彼は、ホラーシーンをおさえ、ファミリー色を全面に出した現代的な脚本に書き換えた望んだわけよ。だけれど、人物描写が乏しい紋切り型の脚本に刷新は感じるどころか、ベタで古めかしいまま。

スタッフォード・アリマ(「アルター・ボーイズ」)の演出も創造力に乏しかったのよ。本作の見どころはなんといっても豚の生き血を使うクライマックス。それなくして何があるのよ!と思うのだけど、演出家アリマはキャリーが頭上からぶっかけられる豚の生き血を赤い照明で表現。それがまるで田舎のキャバクラのセンスのない照明デザインで・・観た瞬間、テンションは一気に急降下。周りの観客から溜め息が聞こえたほど。まあ、いずれにしても、本作はシシー・スペイセクありき。初演が失敗したように舞台化するアイディアがそのものが大間違いってこと!公演は4月8日までの予定。最後にお知らせ。玉川大学の舞踊と和太鼓のNY公演は4月9日にコロンビア大学ミラー劇場で行われます。残席僅か!