目覚めると朝だった。 読みかけの本と缶のバドワイザーがソファから転がり落ち、その横に僕も転がり落ちていた。
ナンのカンの言っても黒田騒動から好色とここ一ヵ月休みなしの生活。休みどころか付き合いの飲みごとにも参加し、身体が悲鳴をあげたようだ。 「ヒェ―!10時15分!!」壁の時計をみて今度は僕自身が声をあげた。 理想的な僕の事務所の出勤は通常九時、まあ皆が来るのは10時だが、それさえも過ぎている。しかも今日は午前中に生田と七夕のイベントの台本の最終チェックをして、そのまま生放送、そしてそのまま打ち合わせとイベントのリハーサルだ。
…最悪だ。


「これまで応援して下さった皆様、そして座員の皆…ごめんなさい。弱い僕はこの程度の事で全てを投げ出してしまいました。 あとの事は生田を中心に処理して下さい。保険件は泰川ちゃんと相談して下さい。田村さんステーキをおごると言ってそのままになってごめんなさい。果林、車の運転しすぎでその若さで腰痛持ちになってしまいましたね。春華やっぱり今事務所にいついているネコは春華が飼うのが一番です。よろしくです。リコ、今まで「お前は時間にルーズだ!」なんて怒鳴ってごめんなさい。僕の方こそ取り返しのつかないほどの失敗をしてしまいました。それから皆に…。」
と失踪する為の書き置きの文章が頭をよぎったときフトベランダの様子がいつもの朝と違う事に気付いた。
暗い。
そう暗いのだ。
部屋の天井は蛍光燈がついていた。まさか僕が感じた朝の光は…


そう、夜の10時15分だった。



TSUTAYAに自転車で出かけて旅の本を買った。




めでたし、めでたし。






明日、起きれれば。(笑)