甲斐駒ヶ岳 |

八ヶ岳山麓に滞在している私は、10時とゆっくりの出発。コヒガンザクラで有名な高遠城址公園で昼食を済ませていると、「道の駅南アルプスむら長谷」にいるとの連絡が入り先輩らと合流しました。マイカー規制のため、車は仙流荘バス停の駐車場に停めました。広い駐車場は登山のピークは過ぎているというのに、各地から来た車がずらりと並びさすが南アルプスの玄関口の賑わいです。
北沢峠への14:10発最終マイクロバスはほぼ定員の乗車、戸台川に沿って約一時間登っていけば終点の北沢峠に着く。運転手が周辺の山や南アルプスの成り立ち、東西日本列島の境界「フォッサ・マグナ(大地裂帯)」のことを説明してくれて飽きさせません。熊により枝がへし折られた桜や栗の木があれば徐行しながら、「木に登ってこんな太い枝まで折るんですよ!」と注意を呼びかける。「これだけ熊のことで脅かせば、熊よけの鈴をバスで売れば儲かるだろうな」と冗談まで言いながらの運転です。そういえばバス停に熊注意の張り紙がありました。朝まで土砂降りだった雨も嘘のように上がり、山の頂は雲で見えないものの快晴、明日から天気は安定するとの予報もあって次第に気持ちが高ぶってきます。


まだ暗い小屋の外でお茶を沸かし、ヘッドランプの明かりでの朝食。「中の食堂ぐらい使わせてくれたらいいのに」なんてことを愚痴る。「市営だからな、役人はこれだから困る!」と小屋の対応の悪さを肴に冷たい飯を腹に流し込む。小屋を利用する登山者の立場に立った運営の仕方があって当然と思うのだが、この小屋には「泊めてやっているんだよ」「いやなら他へいけば!」といった無言の冷たさがあります。5時前には宿泊者全員が起き出していることを考えたら、暖かいみそ汁の一杯やお茶ぐらい飲めるぐらいのサービス、「気をつけて行ってらっしゃい!」と見送るのは当たり前だと思うのです。これらは登山者としては欲張りな要求なのでしょうか?
小屋を出発したのは5時半、この時間になればライトなしでも歩けます。甲斐駒ヶ岳へは仙水峠経由のルートを辿りました。私たち5人全員が高齢者というパーティーですから、当然ペースは遅い。案内書には往復で7時間20分と書いてありますが、小屋に戻ったのが4時半ですから11時間の行程でした。途中で2回のコーヒータイム、帰路には摩利支天岩峰にまで足を伸ばし、爽やかに晴れた藍色の青空を堪能しながらの山行です。今日は降水確率0㌫ということで雨具類も小屋に残しての軽装で、荷の軽いのには助かりました。











ゆっくり下ったため小屋に戻る時間が遅くなりそう、4時半の夕飯時間に間に合いそうにない。私一人が途中から先行して山小屋に戻り、到着が遅れる旨を話し飯時間をずらして貰う。心配した他のメンバーは、それでも私より20分遅れの4時半には到着できたので一安心。久しぶりに山歩きをした一人が途中から膝の痛みを訴え、遅いペースがさらに遅くなったのでした。
こんな事もあって、明日の千丈ヶ岳は4人がパスすことを決めたようです。甲斐駒ヶ岳に登れたので満足、もういいよ、明日一番のバス(10時)で下り温泉に入って帰るとのこと。千丈ヶ岳に登ってから横浜まで帰るのは辛いから、お前の所(八ヶ岳の山荘)に世話になるかなどと言っていたことは忘れてしまったようです。