「今のニッポン、俺たちが作ったんだぞぉ!」
銀座通りを「達者でな」を歌いながら歩くクレージー。
植木さん、急にこっちを向いて、この台詞を言います。

『会社物語 MEMORIES OF YOU』(97年)で、植木さんが扮する「上木原等」というキャラは、ハナさん扮する「花岡始」のつとめる「東京商事」の守衛さんですが、当初の設定は、使い込みがバレて、会社の資料室に飛ばされたけれども、妙に明るい男、だったそうです。まるで『日本一のホラ吹き男』の中等のようです。でも、植木さんは「なんぼなんでも」と難色を示したため、「ならば、守衛で」という線でまとまったそうです。

でも、皆さん、『日本一のホラ吹き男』を思い出してください。中等は、益々電機の守衛から、そのキャリアをスタートさせたわけです。

「わかっとる、わかっとる」です(笑)

しかも、しょぼくれた男ではなく、ダンディで、大きな屋敷に住んでいる、しかも若い奥さん(羽田美智子さん)を娶っている。この上木原等というキャラの扱いは、実は「日本一の男」シリーズにのっとっているのです。

今回の作業をしていて、市川さんが映画のコピーを考えて、書いているメモがありました。

「おとっつあん、映画ができたわよ」

いやぁ、「わかっとる、わかっとる」です(笑)

このコピー、ほとんどが、クレージーマニアなら、ニヤリのものばかりでしたよ。いつか、まとめて、紹介できればと思っております。

『会社物語 MEMORIES OF YOU』を、最後の家庭内暴力のシーンで、重くてヤだ、とか、ナマナマしくてヤダ、という人もおられるかと思いますが、僕は好きです。

特に、クレージーの面々がジャズ談義をするシーン。
ほとんどフリートークなので、素のクレージーの会話がバッチリ記録されているのです。

蛇足です(笑)

素のクレージーが味わえる映画は、山田洋次監督の『家族』(1970年)の上野駅のシーンです。上野でかけがえのない家族の一人を失い、あの夫婦が落胆して、東北本線を待っているとき、元気な長男がうろうろしていると、これから仕事に向かおうとするクレージーと出会います。ハナさんがヘンな顔をして子供をあやしてくれます。で、男の子、両親のところに駆け寄って「タメゴロー!」と、そのことを伝えます。辛く、悲しい状況に、クレージーが登場してくれます。この場面、好きだなぁ。
『日本一の色男』から始まった、植木等×笠原良三×古澤憲吾による「日本一の男」シリーズの五作目。スーパーサラリーマンのバイタリティ喜劇としては、最後となった作品。

いやぁ、面白い、植木等さんを観ているだけで、面白いなぁ。古澤演出の勢いは、だるい日常の格好の刺激ですなぁ。販売マニュアルをペラペラとめくって「よし、わかった!」。頭に入っちゃうんだから、イイ。それに浅丘ルリ子さん(日活)がまた可愛い。ツンデレの典型で、出演シーン毎に衣装が違う、というもの華やか! それに、ストッキング会社を舞台にしているだけで、女子稼働率も高く、カラフルで楽しい。

取引先の支社長・テッド・ガンサーさんと、植木さんの無責任なやりとり、演出と編集のタイミングが抜群で、他の映画ではいささかたるい、外国人俳優も、古澤演出にかかれば、いつものアップテンポに!

というわけで、よーし、元気が出たぞ!(笑)
いやぁ、これも傑作ですね。有無を言わせず、問答無用のハイテンション。この作品で、行き着く所まで行った、と思います。人見明全開の「シビレ節」前後の船橋ヘルスセンターの描写は、最高ですね。江分利満氏の「サントリービール」、三木鶏郎先生の「♪長生きチョンパ」を「若大将」の広瀬健次郎先生が勇壮なマーチにアレンジ! さらに、オバQの着ぐるみのなかから、出現するゴリガン男! 子供の夢を体現してます。

植木さんがオバQに!

これは『日本一の男の中の男』の、ゴジラと植木さんの共演と並ぶ快挙!です。「さすがわかってらっしゃる!」

で、『日本一の男の中の男』でメインに登場する、竹橋の毎日新聞社、一作前の『日本一のゴリガン男』では建設中なんですね。また、『フレッシュマン若大将』の日東自動車のビルもまた建設準備中です。東京がエライことになっている昭和41年ではあります。

しかし、なんでしょうね、この爽快感! やっぱり、すごいや!

このDVDについている「人見明さんインタビュー」は、自分の仕事でも傑作の一つだと思います(笑)