6月17日 神戸。


ブラジル 対 ベルギー


決勝トーナメントの1回戦。
神戸のゲームは、ブラジル-ベルギーの組み合わせとなった。


実は、大会が始まる前は、長居の3試合を役員として見れるので、それ以外の観戦は、6月5日の鹿島のゲームだけでがまんしよう・・・と諦めていたんだけど、実際、鹿島に行ってみると 「もう1試合 見たい・・もう2試合 見たい・・」 という気持ちが、どんどん抑えられなくなっていた。

しかも、ブラジルが神戸に来るとなると 「なんとしても見に行きたい」 と思ってしまったわけで。。


そういえば、あの1ケ月間、公式チケットサイトからのチケットゲットを目指し “何度も” “何度も” チャレンジしたなぁ。。
日本時間で試合が行われるのだから、眠い目をこすらなくて済む1ケ月だと思っていたけど、結局は毎晩毎晩チケットサイトとの睨めっこで眠れない1ケ月だった。



この大会、FIFAはフランス大会のチケット大混乱を教訓にして、チケット販売の一元管理をイギリスのバイロム社へ委託。
バイロム社はチケットを記名式にすることで闇売買を防ぐ仕組みを導入し、インターネットでの公式チケット販売サイトを提供していた。


ところが、このチケットサイトは、ほとんど繋がらず、やっと繋がっても 「ご迷惑をおかけしますが、現在サーバがオーバーロードしております。」 というメッセージが表示されるだけ。


運よく繋がると日韓の開催地マップが表示され、各開催地ごとに発売可能なチケットがあれば緑ランプ、なければオレンジのランプが表示されるので、緑のランプが表示された開催地をクリックして進んでいくしくみ。


夢は終わらない

しかし、バイロム社がイギリス本社からコントロールしているため、データ更新されるのは深夜で、ひたすらクリックしながら緑のランプが表示される瞬間を待ち続けるしかなかった。

また、運よくチケットが決定し、クレジットカードの番号を入力する予約手続きの画面まで進んでも本当にチケットが確保できた保障はなく、当時、大阪では天満橋に設けられていたチケッティングセンターへ行って、クレジットカードを紹介してもらって初めて確認できるしくみだった。


夢は終わらない

最終画面近辺でも輻輳して画面が固まってしまうことがしょっちゅうだったから、祈るような気持ちで天満橋へ行って、「残念ながらチケットは確保できていませんね。」 と何回言われたことか。。。


それなら、オークションで入手しよう・・・となるところだけど、ヤフーオークションや楽天フリマは 「チケットの異常な高額売買やそれに伴う詐欺行為を防止するため、日韓ワールドカップのチケットの出品は禁止」することを表明し、該当すると思われる出品に関しては片っ端から削除を行っていたため、オークションでの入手も不可だっった。


両手両足を奪われた状態で、この後の決勝戦まで続くチケット争奪戦は常識の範囲を超えるあらゆる手段を使ったことは言うまでもないんだけど・・・ちょっとココには書けないよね。


紆余曲折を経て入手したチケットは、カテゴリー3 S6ブロック S67列のチケット (定価 \12,000) 。


夢は終わらない

夢にまで見た 「ワールドカップでのブラジル」 観戦だった。


三宮で地下鉄海岸線の 「花時計前駅」 へと向かう地下通路から、すでにブラジルサポーターで溢れていて、「御崎公園駅」 まで行くと、スタジアムまでの道にはサンバのリズムが鳴り響き続いていた。

「神戸という街に “妙” にマッチしている」 ブラジル人たちに比べると、やはりベルギーからのサポーターは少数だった。
“奇抜な” 応援スタイルのベルギーサポーターに至っては殆ど皆無で、スタンドはブラジルの圧勝だった。


夢は終わらない

夢は終わらない

ちなみに、この試合は、ワールドカップに憧れ続けたカズ 三浦知良が、初めてワールドカップの行われているスタジアムに (残念ながらスタンドではあったが) 足を踏み入れた “記念すべき” 試合となった。


また、ひと足先に1回戦を勝ち、このゲームの勝者との準々決勝での対戦が決まっているイングランドチームもスタンドにやって来ていた。

夢は終わらない

ベッカムが見つめるなかで試合が始まった。


試合序盤は、ベルギーがペースを握り、押し気味にゲームを展開。
そして36分、主将ウィルモッツがヘディングでゴールネットを揺らした。
しかし、これが反則と判定されてノーゴール。
DFと空中戦で競り合った際に反則があったという判定だが、この後、「ビデオで何度チェックしても、ウィルモッツが反則を犯したとは見えなかった」 という報道がほとんどだった。


命拾いしたブラジルは、後半、デニウソンを投入してリズムを変え、そして、67分。
ロナウジーニョの右からのクロスを中央で受けたリバウドが胸で落とし、一回転してDFをかわした後、左足で矢のようなボレーシュートをゴールへ突き刺した。
一瞬で全ての流れを変えてしまう豪快な、芸術的な、シュートだった。


さらに、87分。
今度はクレベルソンの右からの流れるようなパスを、ロナウドがダイレクトで2点目のゴール。
得点王の “本命” ロナウドが今大会 5点目を決め、得点王争いをリードしていたクローゼに並んだ。


この日は、サイドスタンドからの観戦だったが、前半の「幻のゴール」、後半のリバウド、ロナウドのゴールが全て目の前のゴールに吸い込まれた。


ブラジルの2発は、とてつもないビューティフルゴールだった。


夢は終わらない

夢は終わらない

1次リーグで日本とも戦った 「赤い悪魔」 ベルギーは、不運な判定に泣き、そして最後は力負けで、 4位になった1986年以来の8強入りを逃した。


ブラジルは、リバウド・ロナウドの両エースが4試合連続のアベックゴールを挙げ、グループリーグから今大会唯一の負けなしで4連勝を飾り、3大会連続の8強入りとなった。
21日に静岡で4強をかけて、イングランドと対戦することが決定。


ベルギーの堅守に苦しみながらも、無傷の4連勝を飾ったブラジルは、試合途中でスタジアムを後にしたベッカムの目にどう映っていたのだろうか。



・・・ 神戸の街がサンバに包まれ、リオデジャネイロと化した夜だった ・・・


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【GAME DATA】
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Round 16
MATCH.54
17/06/2002 20:30
神戸(神戸ウイングスタジアム)
40,440人
ブラジル 2-0 ベルギー


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ブラジル
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GK:1 マルコス
DF:3 ルッシオ , 4 ホッキ・ジュニオール , 5 エジミウソン
MF:2 カフー , 6 ロベルト・カルロス , 8 ジルベルト・シルバ , 11 ロナウジーニョ (81分 15 クレベルソン) , 19 ジュニーニョ (57分 17 デニウソン)
FW:9 ロナウド , 10 リバウド (89分 7 リカルジーニョ)


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ベルギー
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GK:1 デブリーガー
DF:5 バンケルクホーベン , 6 シモンズ , 15 ペータース (72分 9 ソンク) , 16 バンビュイテン
MF:8 ゴール , 10 ワレム , 18 バンデルヘーゲ , 22 ムペンザ
FW:7 ビルモッツ , 11 ベルヘイエン


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主審:ブレンデルガスト (ジャマイカ)
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得点:リバウド (67分) , ロナウド (87分)
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