アメリカ、カリフォルニア南部の町に着いてしばらくは生活に慣れるのに精一杯でした。実はそれまで、アメリカには母と旅行でハワイに行ったことしかなく、移動や買い物まで全てが手探り状態でした。しかもスーパーマーケットでの買い方やバスの乗り方、ATMの使い方など、いちいち日本と違います… タクシーや外食でチップが必要だし、車の現地免許や社会保険番号も取らなきゃなりませんし、自分で医療保険に加入しなければなりません。こんな面倒くさい米国勤務はさっさと辞めて帰国したい、という気持ちになったことは何度もあります。


会社には日本人社員が何人か居て、日本語を話す機会がありましたが、もともと見知った仲ではない人たちなので、なかなか溶けこめませんでした。また、仕事柄、現地スタッフとのコミュニケーションが必要でしたが、日本で英会話など習ってきたものの、聞き取れなかったり、聞こえても分からない単語やイディオムも結構あって、もともと引っ込み思案の私は、分からないことを聞き返したりもできず、連絡ミスも起こり、仕事が辛く感じるようになりました。


治安も日本より悪いと決めつけていたので、仕事以外は家に引きこもることが多くなりました。家は、会社が用意したアパートメントでした。1人暮らしは気楽で良いのですが、食料を買いに出かけるくらいしかほぼ出かけない週末が続き、ネットやゲーム、DVD鑑賞で寂しさ紛らわせていました。


でも、やはりそればかりでは寂しさは埋められず、離れ離れになってしまったYさんに会いたくなり、何度かメールや国際電話しちゃいました。時差があるので、電話の場合、あらかじめアポ取ってかけましたけど…電話でYさんは相変わらず優しく気遣いしてくれて、だいぶ癒されました。ホームシック、かつ、Yさん欠乏症の私には本当にありがたいことでした。


ただ、日本から離れて、数少ないメリットはありました。現地法人は服装が自由で、社内は日本人でも幹部以外は私服でした。髪型もかなりユルい感じでしたので、学生の頃のようにユニセックスな感じに戻そうと思い始めました。


あと、日本からは女装用衣類とメイク道具を厳選して持っていきました。ダンボールに仕舞ったままにしてましたが、もう少し生活が慣れたら、こちらでも女装してみようかしら、と思うと、急に元気になった私でした(^^;;