「プールで児童が溺れているのが見つかり死亡した」という報道を大変残念に思いました。

 

 水泳指導で一番大事な水死を防ぐということが、残念ながら疎かになっていたためであろうということです。

 

 はっきり言って、常にプールに目を光らせていれば、溺れそうなところで発見できるはずなのです。ただ、自身の体験では多くの人はプールを注視していませんでした。児童がプールに入っていたら、絶対にプールから目を離さないで水難事故を防ぐことが最優先なのです。溺れてから4分間の時間があるのです。おかしいと思った瞬間に助け上げれば間に合うはずです。

 

 私のいた学校では教師が2人、保護者が2人の計4人で、プール当番をしていました。本来プールから目を離していい時間は、全員をプールからあげて休ませている時だけなのです。しかし、キチンと見ている人は皆無だったことを覚えています。

 大変疑問ではあったけれど、若かったので自分一人だけでやっていました。

 

 だから、プールの事故が、たまに起こるたびに、「しっかりと見ていなかったな」と思っています。

 

 中には、自由泳ぎというときに一緒にプールに入って児童と遊んでいる教師もいました。最も注視しなければならないのは自由泳ぎの時間なのです。絶対にあってはならないことなので、プールから目を逸らせたことはありませんでした。しっかり見ていれば、絶対に助けられるからです。

 

 1つの側面として、教育においては、本当に大事な事は無視されるという傾向があります。プールの事故は、たまにしか起こらないため、気にかけていなくて死なないのが当たり前なのです。したがって、そんなところに一生懸命になる人はほとんどいないのです。

 これと同じなのが、非行ゼロ、不登校ゼロ、いじめゼロなどが全く評価されないことです。これらはゼロで当たり前という認識があるため、予防的対応を真剣に考える教師はいないとも言えるのです。

 

 実際に中学で生徒指導に真剣に取り組んでいた時、「そんなことをしていても誰も評価してくれないよ」と学年主任に言われたことがあります。これは確かなのです。マイナスの状態をゼロにしても、やったという証拠が残らないのです。

 でも、周りから評価してもらうためにやっていたのではないのでやり続けました。いまだに、間違っていたとは思っていません。