反抗期の子供へ対応するのではなく、反抗されないようにすることが大事なのです。不登校への対応も同様に、不登校にならないようにすることが大事なのです。

 

   問題を作っておいて、それに対応をしようとする割には、問題を作らないようにしようとは考えないようです。なぜでしょう。予防は成果が全く分からないのです。問題が見えないのですから、それに対処しようとは思わないのが当たり前なのです。

 

 「転ばぬ先の杖」と昔から言われて、なかなか杖がつけないものなのです。そして、杖がつけるのはプロだけなのです。

 

 問題行動への対応と予防的な対応とでは、行って帰ってくるほど、予防的な対応の方が楽で効果があるのに目を向けられないのです。大人の目を濁らせるのが、早期教育がいいというような雑音です。

 

 ここで大事なのが「早期教育がいいか、どうか」と言われたら答えは必ず「いい」となります。早くからやる方がいいのに決まっています。「継続は力なり」と言われるように長時間継続できるほど良いのです。

 

 ピアニストになるためには早期教育が必要と言われています。ピアニストだけではありません。プロ野球選手になるにも早期教育が良いのです。

 

 ここで注目しなければならないのは、

 ピアノの塾に通った子供の一握りしかピアニストにはなれないという事実です。幼少期から野球をやっている子供の一握りしかプロ野球選手にはなれないという事実です。

 

 筆者の息子3人もピアノの塾に通いました。教育の機会を与えるのは大事だと考えていたからです。本当に好きであれば自分でやっていきます。やらなければ適度なところで止めさせれば良いのです。すんなりと止めるようであれば向いていないのです。好きであれば「嫌だ」と言います。

 

 「やる」のと「やらない」のでは、どちらが良いかという見方をすると、必ず「やった方が良い」となります。これは「森」を見ないで、「木」だけを見ている状態です。

 

 宿題を出すのと出さないのではどちらが良いかという見方の教師は宿題をせっせと出します。全体の効果などは考えられません。効果があるかどうか分からない1人のために出すのです。そして、残りの9割以上の子供を苦しめます。

 ※宿題を「出すのと出さないのとでは、どちらが良いか」でしか素人は考えません。だから、宿題を出すことになるのです。宿題をやたら出している教師は素人と言わざるを得ません。

 

 あるいは、毎日宿題を出すと学習習慣がつくという幻想に捉われています。「習慣」の意味も捉えられていません。※習慣化‥それをしないと身体に違和感がある状態。歯磨きの習慣‥歯を磨かないと口の中に違和感がある→スムーズに歯磨きをする

 

 今、目の前にいる子供にとって、「最も良いのは何か」という見方が大事なのです。これは全体(森)を捉えないと回答できません。6歳までの子供であれば、間違いなく「自己決定の行動の尊重」なのです。これが8割で、残りの2割で親のやらせをするのであれば健全育成と言えます。

 

 「不登校が増える、増える」と言っておきながら、「不登校にならないためには、どうしたらいいか」とは、誰も言わないのです。

 

 筆者が現職の時、学年主任から「〇〇さん、生徒指導(生活指導)に力を入れても、誰も褒めてくれないよ」と言われたことがありました。褒めてもらいたいと思ってやっていたのではなく、教育で最も大事だと思っていたからでした。間違いなかったと確信しています。

 

 問題行動の予防は、絶対に成果として現れません。昭和50年代のように全国的に中学校が荒れていれば落ち着いた(普通の)中学になれば評価されます。

 

 何もないのが普通だと思われているのです。現状の学校は、荒れた反省としてしっかりと力で抑え込んだ結果、非行が減少して不登校が増加したのです。現在は落ち着いているが、昔に比べて委縮して骨抜きになっている状態と言っても良いでしょう。だから、不登校が増えるのです。

 

 ※文部省発行の「生徒指導の手引き」第一集に、教師と生徒の人間関係は

 権力-服従の関係、権威-尊敬の関係、出会いの関係の3つが記されている。現代の学校の教師と生徒の関係は、残念ながら最悪の権力ー服従の関係である。 教師と生徒の関係を権力ー服従の関係を無くすだけで不登校は防止できると言える。

 

 「生徒指導の手引き」第一集は名著と言われています。それに比べて「生徒指導の提要」はどうかな?

 

 今回の震災には心からお悔やみを申し上げます。しかし、テレビなどの外野が、なぜ予防できなかったか?などと言うことは腹立たしいのです。最も予防が難しいことに対して予防が大事はないのです。簡単に予防できる不登校やいじめに対しては全く予防に目が向かないという人間の愚かさが、予防を難しくしている最大の理由なのだです。