AKSの記者会見。活字では読んでいたが動画で改めて見ると強い怒りを覚える。AKSは問題をうやむやにするつもりだろうとは思っていたけれども、それは確信になった。
AKS幹部の中には山口さんへの配慮や謝罪は一切ない。
被害者にさせてしまったことへの謝罪も、加害者への怒りも、ずっと放置してきたことへの謝罪や反省も、被害者に「謝罪」コメントを言わせたことへの申し訳無さもなにもない。あの会見中、少なくとも松村氏の脳裏に山口さんの姿が浮かんだことは一度もないのではないか、と思わせるものだった。
事実関係の一切について、警察の捜査内容に関わるので、とコメントを拒否。12月8日に事件が起こり、書類送検されたが、12月28日には不起訴処分の決定を新潟地検が下している。捜査は完了している。捜査が行われていない中での「捜査内容」って一体何だ。何もあるわけがない。つまり運営側は「事実関係については何も調べないし、明らかにしない」と言っているのと同じだ。
これは第三者委員会の設置とあいまって完全なAKSの居直りと開き直りの論理になる。
操作終了後に「捜査内容に関わるのでコメントしない」と言っている。ということは、永遠に「捜査内容に関わる」ということを口実に口をつぐみ続ける、ということになる。論理的にはそうなる。
けれどもそれでは言い逃れができないので「第三者委員会の設置」ということを言い出している。
その理由には驚いた。松村氏は以下のように述べている。
「NGTのメンバーとしての不適切な言動だとか行動に関してはあらためて第三者委員会の方で調査をさせていただきたい」
あまりにもおかしい。
第三者委員会が設置されるのは、通常、自らの力では問題点を解明し、解決することが困難な場合だろう。どこかの会社の一支店で問題が起こったからといって第三者委員会が立ち上げられるわけではない。当然だ。通常、本社のガバナンスによって解決する問題だからだ。
第三者委員会が必要になるのは、ガバナンスの主体そのものが問題になるようなときだろう。近い例で言えば日大アメフト部の問題に際して第三者委員会が立ち上げられている(もっともその最終報告書が昨年8月に出されているが、格付け委員会によってほとんど不合格ともされるような厳しい評価を受けている 注1)。今回で言えばAKSのあり方そのものが問題になるときだ。
つまりその会社、組織の基本的な運営のあり方、経営方針、最高幹部を含めた組織体制や体質、組織の「風土」のようなものが問題になるときだろう。
今回の第三者委員会がそうした役割を果たすためなのであれば好ましいことだが、松村氏の口から出てきたことが「NGTのメンバーとしての不適切な言動だとか行動に関して」だ。
何を言っているのだと思った。それこそそれはあなた達の管理運営、ガバナンスの問題ではないか。
山口真帆さんの告発は明快だ。
彼女たちの恋愛禁止は契約書にも書かれているらしい。寮の自室に男性を引き入れることなどルール違反、契約違反であることは明白だ。それを守らないメンバーがおり、山口さんが運営サイドに是正を申し入れていた。しかし運営サイドは問題を放置。そして事件が起こる。
AKS・NGT運営サイドの決めた(あなた達が決めたんですよ)ルールをメンバーが守っていたのか。それがなぜ「第三者委員会の設置」になるのですか。
もしここで「なぜNGTの運営サイドは、運営側自身がメンバーに要求していたルールを守っていたものを守らず、ルールを破っていたメンバーが我が物顔で振る舞えたのか?その組織のあり方の問題点は何か?」ということであれば第三者委員会の設置はありうることだと思う。しかし今回は全くそうではない。本来AKS・NGTの運営が行うべきことを「第三者」に丸投げするということ以外は意味しない。ということは彼ら自身は自分では何も解明するつもりがない、ということにしかならない。
それに第三者委員会の委員をいったい誰が選ぶんですか?
ここで確信になった。
AKSは、運営は、すべてを覆い隠し、うやむやにするつもりだ。確信犯的にその道を猛然と進んでいるんだ。
だから、今村元支配人の処遇は更迭・引責なのか、という質問には「そういうことでは一切ない」と断言できるわけだ。「引責・更迭」となると、いったいなんの問題で、どのような責任があったのか、ということについて述べざるを得なくなる。だから「引責」でも「更迭」でもない。
ここはこだわったほうがいい。事実上の、などと曖昧にしないほういい。公式の場で、組織を代表する人物が「更迭・引責ではない」と言い切った。ということはもう誰も責任をとることはないということだ。
そう考えるとあの会見自体が非常に悪辣な意図に貫かれているのではないか、と思えてくる。会見を伝えたTVでは「会見は事前に知らされておらず、現場には芸能記者だけで一般紙の社会部の記者やNHKも来ていないで社会部の記者などがいない状態で行われた。」(加治佐健一氏 1/15とくダネ!)と言われていた。「少し話があるから」と言われたという。
みると成人式参加者44人のセンターにNGTのメンバーがいた。
事件についての質問の自粛要請は出されていた。運営はメンバーを直撃されるのを恐れていたのかもしれない、と思う。芸能記者たちも成人式の場で、無関係な他のグループのメンバーもいる中では質問を自粛するだろうけど、式が終わったあとは? そう、会見だ!
そんな思惑なんじゃないか、と思えてくる。私の味方がネジ曲がってますかね?
でもね、いまも、恐怖、不安、そしてたぶん様々な圧力、重圧に耐え続けている人がいるんですよ。
それが原点だし、出発点だと思う。
あの運営サイドの人たちには何もない。本当に、なにもない。
注1
東洋経済新聞 ONLINE
日大報告書を格付け委員会が酷評した理由 格付けした委員8人のうち7人が「D」評価
2018/08/02 19:30
https://toyokeizai.net/articles/-/232133
追記
第三者委員会については、たいていの人が期待をしていないと思う。私も期待していなかったが今回その報告書の「格付け委員会」あることをしり、その内容を見てみると想像以上にひどかった。まぁ結局、何もできてないんですね。
ちょっとそのあたりの詳しいサイト。
NHK News Web
“不合格”続出 第三者委員会って名ばかり?
2018年4月13日 19時40分
https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2018_0413.html
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この場はこんなことを書く場所にするつもりではなかったんだけどな。
あまりに理不尽すぎる。