マイクベルナルドが死んだ



K1の創成期を支えたピーターアーツ、アーネストホースト、アンディフグ、マイクベルナルド四天王と言われた男達



アンディーが逝き

又ベルナルドまでが逝ってしまった。




アンディーは同じ極真同門と言う事も有りキックに移ってからも大好きで欠かさず応援していた。

そのアンディーをベルナルドのデビュー戦だったかな?でKOで破ったのが剛腕マイクベルナルドだった。


ボクサータイプでキックが不得手、キックの防御も甘く、いつも皆に足を狙われピンチに陥るが


彼の全てをひっくり返す剛腕が唸りを上げるとチャンピオン達は一瞬にしてマットに這いつくばされる事と成った

当時K1に参戦したばかりの飛ぶ鳥を落とす勢いが有ったジェロム・レバンナをK1を代表するかの如くガチンコファイトで向かって言ったマイク

この試合僕は生で見て居て絶対にマイクはKOされると思って居た。

実際・・・もう・・・・ピンチピンチだった・・・

この試合は彼の死を知り、もう一度見たいと思い探して見たのだが

今見ても感動してしまう。



僕は自分が空手家と言う事も有り

余り彼のファイトスタイルは好きでは無かった

余りにも穴が有り過ぎる戦い方

一向に上達しない蹴り技

しかし彼は自分のパンチを信じて居たのだろう

短所を無くす事より

ただひたすらに

自分の長所を生かし続けた。

蹴りに頼らずひたすらパンチで勝負し続けた

剛腕という言葉は彼の代名詞!彼の為に有る言葉と言って良いと思う。

アンディーが逝ってしまった時、マイクベルナルドはキックを引退してマイナー団体では有ったがボクシングのWBFの世界チャンピオンに成って居た。

しかしアンディがマイクに自分の意思を継いでK1で頑張って欲しいと思っていたと言う話を聞き

ボクシング世界チャンピオンの地位も捨て

K1にカンバックし

アンディの追悼の試合ではキックの下手なマイクにアンディーが乗り移ったかのようにアンディーの代名詞踵落としを出し!

会場を沸かせた。

あの試合を見て僕はベルナルドを好きに成ったんだなって今に成って思う。


K1とプライドが対抗戦というか抗争すると言う戦略なんだろうけど・・・そういう時期が有った。

その時マイクはK1を代表して総合格闘技のプライドの番人ゲーリーグットリッジとなんとK1ルールで戦いKO負けしてしまうと言う失態を犯してしまう。



これほどまでに挫折と苦難に有ったマイクは最後までK1のタイトルを手にする事は無く

無冠の帝王等の有りがたく無いニックネームを付けられる事と成る。


そして迎えたゲーリーとのリベンジマッチ

この時、試合を見て居る僕が緊張して喉がカラッカラに成って居た事を思い出す。



この試合で文句なしのKO勝利を飾ったマイクは、倒れた相手の体に足を置き勝ち誇ると言う侮辱行為をしてセコンド入り乱れの大問題と成ってしまった。

ゲーリーとは初戦の前から舌戦が過熱していて

初戦に勝ったゲーリーがダンスしたり色々言った言わないで確執が有り

両団体のプライドを掛けた言わば喧嘩マッチで問題視されて居たと言う事も有ったのだろう

しかし

この試合の後

お互いに和解して

ゲーリーの試合のセコンドにマイクのセコンドが付いたり

一緒に練習したりと

関係は改善され

お互いの団体も良いムードの交流が生まれる発端と成った問題の試合でも在った様に思う。

選手を引退する頃はダメージの蓄積の為か

ダウンしやすく成って居た様で

中々勝ち星に恵まれず

故郷のケープタウンに帰り

ジムを開き後進の指導に精力的に当たって居た様っだ。

同じくK1からボクシングに移った京太郎選手もベルナルドの弟子だったらしい

マイクのサイン付きのヘッドギアーを今でも大事に使っているそうだ。

彼の死は自殺と言われている

今までにも何度か未遂が有った様なので多分事実なのだろう

一度も栄冠を手にする事は無かったが

彼のファイトは沢山の人の胸に焼き付いて離れないだろう



南アフリカの戦士は


遠く極東の島国で命を削りながら魂を燃やして居た


光が大きければ普通の暮らしは挫折の暮らしの様に写ってしまうのだろうか

彼の死の真実を知りたいとは思わないが

動画の中で勝利し!雄たけびを上げている彼を見ると悔しくて!残念で!涙が止まらない。

彼の死を知るまで

自分がこんなにマイクベルナルドを好きだなんて知らなかった。



色々な格闘技家が頂点を極めた後も


その栄光はいつまでも続く訳では無い

その後転落の人生を歩んで行った者は数限りなく居る

きっと何処かでチャンネルを変えないと格闘家は生きて行けないんだと思う



僕だってそうだ


あの戦いの中に身を置く緊張感、お互いの拳や蹴りが交差する時、自分たちだけが時間を支配しているかのような感覚


勝利した時の喜び


それは、相手や試合会場が大きければ



その感覚も倍増する



そんなの


普通に暮らして居たら一生味わう事の出来ない物だ



そんな麻薬みたいな


生活からいきなり普通の人になんか中々成れやしない


そんな人達を沢山見て居るからなのか?

同じ歳の自分にも痛い程その心が分かるからなのか?

僕はベルナルドの死を知り悔しく悲しい気持ちでいっぱいだが。

今は

ただただ

彼のご冥福を祈りたい

本当に最高のファイターだった

きっと今頃天国で

アンディーフグとスパーリングしているだろう



剛腕マイクベルナルド

今はただただ安らかに眠って下さい。



黙祷