咲きはじめから、開ききる前までが一番美しいなんて、
何だか残酷なように感じます。
このお話は、
それなりに学生時分に仲の良かった三人のもとに、
存在は覚えているけれど、、、と言うくらいの存在だった「ヒロミ」が亡くなったという連絡がやってくる。
それも、
何故か彼女の所有している『白蓮荘』を三人でなんとか維持して、
1号室に暮らしている大学生が卒業までなんとか住まわせてやってほしい、
という遺言があったからだ。
いったい私たちにはどんな彼女との思い出があっただろう。
そう回想するも、
、めぼしい答えは出てこない。
結婚して子供を二人生んで、家族に囲まれながら、その実彼らの召使のような時間を積み重ねている、
ちょっと泣き虫、というか感情が爆発するマリちゃん。
自分の店を持ちながら、その経営が順調とはいかず、お互いに不倫中でどうにか少しでもお金をむしり取ってやりたい、
ちょっと冷めてるサヨちゃん。
ばりばりのキャリアを走ってきたのは、子供も妻も得意ではなかったから。得意だったことをどんどん伸ばしていった今、
本当に私は適正な評価をされているのだろうかと考えているサトエ。
そして亡くなってしまったまりちゃんの生き方と、
その彼女と見上げた白木蓮の思い出を持っている大学生の青年。
お互いの生活は、
それぞれの無いもの、補い合いたいもの、得意なことを選んできたはずなのに、
どこか自分の求めているイメージと食い違う。
それが溜まり溜まって、大爆発を起こした結果、
3人が思い出したヒロミとの大きくて、他愛ない一瞬の重なり。
白木蓮はきれいには散らない。
それでもその白を見上げ、
落ちた茶色異変色を見つめる。
樹が生ものだと知る。
それぞれの生き方に特別は起こらないし、
起きてほしいとも思っていない。
ただ、その生活を歩いて行く中で、
時々サウナにいって、お酒飲んで、生活の話なんかひとっつもしないで、
生きてることだけをひっつけあえるひとがいれば、
何とかなっていくのだと思う。
しずかで、
少し冷たい白木蓮の花弁の匂いがする、
そんなマンガでした。
二階続けのオカヤ先生になりましたが、
いい季節に読めたなと思います。