みなさん、こんにちは。
とし総子です。
 
 
 
 
夏休みが終わって、はや一か月がもうすぐ経ちますね。
 
わが家の怪獣ふたりは、
なんだかんだ喧嘩を毎日しながら
(一方的に兄ほうが負けてますし、
 なんなら七割は弟のワガママか言いがかりなんですが、、、)
楽しそうに過ごしています。
 
 
 
よく漫画のなかでも、
小説のなかででも、
「あーこのまま休みが終わらなければいいのに!」
という台詞があります。
 
今疲れ切っている人には、
「ほんと、それ!」
という言葉かもしれないですが、
私はその言葉がすこし怖いと感じていました。
 
終わらないものは、
取り返しがつかない気がして、
とても怖いきがしてしまう怖がりです。
 
 
 
そんな私が今日ご紹介しますのは、
漫画です。
 
よく本屋さんでも平積みになってます、
真造圭伍先生の『ひらやすみ』です。

 

 
 
主人公のヒロト君は、30歳のフリーターです。
のんびりや、という言葉がぴったりの青年です。
 
(一巻の時点では29歳です。)
 
彼は阿佐ヶ谷の釣り堀でバイトをしています。
もともとは俳優をしていましたが、
芸能界という世界が合わなくて辞めてしまいました。
 
月に五回ほどおじいちゃんやおばあちゃんに声を掛けられるモテモテさんです。
 
そんな彼は、ちょっとしたきっかけで知り合ったおばあちゃんの家で週に二回、
晩御飯を食べていました。
元給食のおばちゃんのおばあちゃんは、
なかなか素直に感情を出せない人ですが、
ヒロト君にだけは少しその口がやわらかくなります。
 
そのおばあちゃんが亡くなったことで、
ヒロト君はおばあちゃんの住んでいた平屋の一軒家庭付きを譲りうけることになりました。
 
そこへ美大への進学が決まったいとこのなつみちゃんが下宿をしにやってきて、
ヒロト君の日常は少し混ぜる力が強くなります。
 
まわりからみたらのんびりとし過ぎるくらいのヒロト君の日常。
その様子に腹を立てる人も、
巻き込まれて楽しくなってしまう人も、
変わらず勇敢になれる人もいて、
そのすべてがやんわりと包み込まれている漫画です。
 
 
 
 
ヒロト君の幼馴染のヒロキの、
嘘つきで、かっこつけで、ちょっと気障すぎる生き方を
遠慮なくぶった切る一言を言えるヒロト君がいいし、
そんなふうな友達を大好きなヒロキもちょっと好きになります笑
 
美大に進学したけれど、
なかなかともだちができないなつみちゃんの
はじめての友達のあかりちゃんも、
そんなあかりちゃんが片思いしてる山田君も、
ぱっと見はカースト上位のグループの子たちも、
ちゃんと面倒なところや、
嫉妬や、
きれいなところがあって
読んでいて自然と世界が広くなっていくのが本当に気持ちいいです。
 
夜、
新歓でついお酒を飲んでしまって駅で戻してしまったなつみちゃんと
迎えに来たヒロト君が歩いて帰る街の明かりや、空気。
 
おばあちゃんの揚げてくれたとんかつのかおり。
 
あったかいお風呂から見上げた空と木の色。
 
絵を描く前の、神聖な心持ち。
 
そこに生きているひとたちの大切なものが、
ちゃんと大切に描かれていて、
いつの間にかそれは読んでいる私にも大切になっていく。
そんな力のある物語です。
 
 
 
 
のんびりとしているヒロト君は、
色んな人に「このままでいいの?」と言われます。
 
「もっと頑張らなくていいの?」
と。
ヒロト君はべつに今のちょっと貧乏な日常を悲観してはいません。
でも、このままがいいとも思っていないように見えます。
競争が嫌い、というけれど、なつみちゃんが勝手にはじめた栗の皮むきで、
勝ったと喜ぶ彼女に彼は眩しそうに笑っていました。
 
でも彼には、彼のやり方があるんです。
今の幸せは、名一杯かんじていて、
だけどどこか胸にくすぶっている小さな欠片があるような気がします。
 
なつみちゃんのマンガ家への道も、
「これ!!」というものをみつけて、それの結果がでているなつみちゃんに胸が重くなってしまう友人のあかりちゃんも、
もやもやしながらでも描くことに向き合い続ける背中を知っている山田君も、
これからどんな物語を編んでいくのだろう、、、と楽しみが膨らみます。
 
そしてヒロト君の友人のヒロキ!
結婚、子供の誕生、、、と生活が変って、
パートナーといっしょの速度では変わっていけないことに落ち込んだりするけれど、
なんとか頑張ろうとしているところを見ると、
応援してしまいます、、、
 
他にも、なんて憎めないやつらなの!!!と思えるひとたちがたくさん生きている
『ひらやすみ』、是非読んでみて下さい。
 
 
 

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

 

これからも私がたのしいと思った作品を紹介していきますので、

ちょっと気にいったよ、という方はどうぞまた覗きに来てください。

 

それでは、今日はこれにて。