チャイナタウン(BD)
1974年作品/アメリカ/131分
監督 ロマン・ポランスキー
出演 ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ
2022年9月17日(土)の午後、自宅で観賞しました。
私立探偵ジェイク・ギテスは水道局幹部モーレイの妻と名乗る女性から、モーレイの浮気調査を依頼される。モーレイに若い恋人がいることを突き止めたギテスは、同時に彼が新ダム建設に反対していること、そして町の実力者である義父クロスと対立していることを知る。やがてギテスが撮影したモーレイの浮気現場の写真がゴシップ誌に掲載され、モーレイの本当の妻が弁護士を伴ってギテスの事務所に乗り込んでくる。そんな中、モーレイが溺死体となって発見され(以上、映画.comからの引用)、という物語です。
感想を書く時間がなくて、9月に観た昔の映画になります。こちらは若い頃にテレビで見たきりで再見というか、もう記憶も何もないのでほぼ初見と同じですね。ロマン・ポランスキー監督の映画を最近観たので、その流れで未開封だったBDをチョイス。雰囲気のある、人間関係がどろどろとした犯罪映画で、キャストが素晴らしいです。
《感想です》
- 1940年代のアメリカで撮られた犯罪映画や探偵映画の匂いを甦らせています
- 太陽の眩しいロサンゼルスの裏社会と荒廃した人の心をを見事に切り取ります
- 映画全体の暗く重いトーンはポランスキーの当時の心情を反映しているのかも
1937年、深刻な水不足に陥るロサンゼルスで、ダム建設の利権をめぐって繰り広げられる犯罪ドラマです。水道局の責任者モーレイの妻だという女性から浮気調査を依頼された私立探偵ジェイク。事件の真相に迫るジェイクはモーレイの本当の妻イヴリンと知り合うのですが、その男は貯水池で死体となって見つかります。
これは1940年代のアメリカで撮られた犯罪映画や探偵映画の匂いに満ちた作品ですね。代表的なところでは、ジョン・ヒューストンの「マルタの鷹(41)」やハワード・ホークスの「三つ数えろ(46)」とか、そういったフィルム・ノワールと言われた映画の雰囲気をポランスキーが70年代に再現したかのような作品でした。
元警察官で過去の事件で愛した女性を失い心に傷を抱えているジェイクと、影のある訳ありのファム・ファタールのイヴリンの男女の物語でもあり、明らかになる事件の真相は1930年代のロサンゼルスの裏社会と荒廃した人の心をを見事に切り取ってやるせなく、救われないラストシーンは沈鬱なムードを残して幕を閉じます。
妻だったシャロン・テートを(ロサンゼルスで)失い、アメリカを離れてヨーロッパにいたポランスキーは、この「チャイナタウン」を撮るためハリウッドに戻ってきたわけですが、愛する女性を失った主人公ジェイクの心情と映画全体の暗く重いトーンは、彼の当時の心境を反映したものになっているのかもしれませんね。
かなり早い段階で鼻を切り付けられて大きな絆創膏をしているジェイク役のジャック・ニコルソン、氷のように固い表情を変えず様々な帽子が印象的なイヴリン役のフェイ・ダナウェイに加えて、イヴリンの父を演じた巨漢のジョン・ヒューストンのインパクトが圧倒的です。このキャスティングで魅せる作品でもあります。
音楽をジェリー・ゴールドスミスが担当しているんですね。こちらも良かったです。未見のかたはぜひレンタルでご覧ください。
トシのオススメ度: 5
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