るろうに剣心 最終章 The Final | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

るろうに剣心 最終章 The Final
 
2021年作品/日本/138分
監督 大友啓史
出演 佐藤健、新田真剣佑、武井咲
 
2021年4月24日(土)、TOHOシネマズ府中のスクリーン2で、14時45分の舞台挨拶上映の回を鑑賞しました。

 

日本転覆を企てた志々雄真実との死闘を終えた剣心たちは、神谷道場で平穏な日々を送っていた。そんなある日、何者かが東京中心部を相次いで攻撃。やがて剣心は、ある理由から剣心に強烈な恨みを持つ上海の武器商人・縁との戦いに身を投じていく(以上、映画.comからの引用)、という物語です。

 

ライブビューイング付きの上映回を観てきました。登壇されていたのは、大友啓史監督ほか、佐藤健さん、新田真剣祐さん、武井咲さん、そして青木崇高さんの5名の方でした。どうでしょう、30分もあったでしょうか。上映前ということでネタバレできないので何だか話しにくそうではありましたが、それぞれ映画の人物まんまの個性で聞いていて面白かったです。



 
抜群のキャラクターとキャスティングの面白さ
 

「るろうに剣心」はコミックもアニメも知りませんが、映画はずっと観てきました。とにかく最初に観たときからアクションの凄さは破格でした。それとキャスティングですよね。佐藤健さんの〝~でござるよ〟の剣心が抜群にハマっているのは当然としても、薫の武井咲さん、左之助の青木崇高さん、恵の蒼井優さん、って布陣は本当にいいバランスですよね。

 

敵のキャラクターもみんなユニーク。演じておられる俳優の方々も大物俳優さんが多かったですが、みんな超真剣に、そして嬉々として演じておられて。そういうのも楽しいところですよね。吉川晃司さん、香川照之さん、藤原竜也さん(顔が映らん)、神木隆之介さん。敵じゃないですが福山雅治さんも「龍馬伝」の大友啓史監督ならではのキャスティングでした。

 

まだまだ江口洋介さんに、伊勢谷友介さん、土屋太鳳さん、いろんな方が出演されていますが、個性豊かな方が多いなかで、私は神木隆之介さんが演じた喜怒哀楽の感情を失った瀬田宗次郎が敵キャラとして、さらに彼にまつわるエピソードも含めてよく出来ていたなと思いました。そういう俳優さんを見に行くという楽しみが、このシリーズにはありますよね。

 

▼いつもの面々が勢ぞろいするオープニングからワクワク
 

個人的な恨みから生まれる殺戮と破壊の納得度

 

そして、今回の最終章で新たに登場するのが雪代縁。剣心に殺された姉の復讐をはかろうと迫るこの雪代縁を演じるのは新田真剣祐さん。先日、「ブレイブ/群青戦記」にも出ておられ見事なアクションを見せてくれましたが、アクションということなら若手俳優のなかでは彼の右に出る方はいないのではないですか。まさに「るろうに剣心」のような映画にぴったりです。

 

ちなみに縁のお姉さんの雪代巴を演じているのが有村架純さんですよ。今回は全体のドラマのなかでは剣心が幕末に人を斬りまくってブイブイ言わしていた頃を回想するシーンの中で少ししか出てこないのですが、(これはネタばれにならないと思いますが)剣心に殺されてしまうシーンが何度も繰り返し出てきてですね、その雪のシーンが実に美しく、儚かったです。

 

この縁がですね、お姉さん思いなんです。何ならシスターコンプレックスなのかと思うくらい「姉さん、姉さん」っていつもメソメソしているのですが、これがいったん姉の復讐ということで立ち回ると恐ろしいほどの強さ。でも個人的な恨みからこれだけの殺戮と破壊を行うなんて、剣心でなくても〝お前の生き方だけが間違ってるでござる〟と言いたくなるわけです。

 

そこがですね、この映画をつまらなくしていたのではないかと思います。単純な悪ではないことがドラマに深みを与えて面白くする要素になっているはずが、縁の言い分に納得できるかというと誰もできないと思うわけです。それでちょっと彼が情けないキャラクターになってしまっている気がしました。ここは観た方によって感想が分かれるかもしれませんが。

 
▼めちゃくちゃカッコいいだけに、ちょっとその姿は見たくないという
 
剣心の薫に対する描写が弱くなかったかな

 

今回、この縁がドラマを面白くしている要素があるとしたら本人の強さというよりも、剣心の心理面への影響でしょうか。彼の姉のことがあって剣心が縁を本気で切れないというところ。でも自分も殺されるわけにはいかないという、この葛藤の部分ですかね。そこが良かったですね。でも〝ここ〟というところの〝アレ〟はネタバレできないのですがよくあるパターンかも。

 

「るろうに剣心」はずっと観てきていますが、とても面白いけれどもやっぱりドラマの部分が弱すぎるという印象を常に持ってしまうのですね。これはコミック原作もそうなのであれば仕方のない話ではありますが。今回ですね、ラストシーンの絵がすごく良かったのですよ。剣心と薫殿との二人の場面。〝おーっ〟と思いました。それでも、少し弱い感じなんです。

 

それは何故なんでしょうか。剣心と薫の二人の間にある感情について、薫から剣心への描写はあっても、剣心の薫に対する描写がドラマのなかで圧倒的に欠けているからじゃないのかなと思いました。どうなんでしょうか。今回は剣心の雪代巴に対する感情と、薫に対する感情の何れについても中途半端でどっちつかずに終わってしまっていたような気がします。

 

▼チャンバラシーンのアクションはいつ見てもすごく、さすが最終章
 

しかし、クライマックスで過去作からのキャラクターが馳せ参じてきてというところは、今回は〝るろうに剣心まつり〟みたいな感じの盛り上がりでしたね。ファンには嬉しいサービスかと。しかし途中で挟みこまれる雪代巴にまつわる断片的なお話、あれは必要だったのかな。〝The Beginning〟を観ないと分からないものの筋が分かってしまった気がするので、何かさらなるサプライズがあるのか。

 

いや、谷垣健治さん指導のアクションシーンを満喫させていただきましたし、キャラクターの面白さも堪能しました。でも目新しさがなく、期待どおりの面白さという感じかなあ。

 
 
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