シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい! | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!
 
2018年作品/フランス・ベルギー/112分
監督 アレクシス・ミシャリク
出演 トマ・ソリベリ
 
2021年2月28日(日)、下高井戸シネマで14時の回を鑑賞しました。
 

1897年、パリ。詩人で劇作家のエドモン・ロスタンは、もう2年近くもスランプ状態に陥っていた。そんな彼のもとに、大物俳優コンスタン・コクランの主演舞台を手がけるチャンスが舞い込む。しかし決まっているのは「シラノ・ド・ベルジュラック」というタイトルだけで、執筆は一向に進まない。そんな中、親友レオが愛する女性ジャンヌと、レオになり替わって文通することに。彼女との詩美あふれる手紙のやり取りに刺激され、自身の脚本執筆もついに進み出す。やがて、借金だらけの俳優や気まぐれな女優ら崖っぷちの舞台人たちが劇場ポルト・サン=マルタン座に集い、それぞれの人生を懸けた舞台の稽古が始まるが(以上、映画.comより引用)、という物語です。

 
こちらの作品の日本公開は昨年2020年11月になります。フォローさせていただいている映画レビュワーの方が取り上げておられたのを読んでいて、地元の下高井戸シネマへ降りてきたので鑑賞することにしました。フランス映画ですね。〝シラノ・ド・ベルジュラック〟という舞台劇の誕生秘話、裏話というドラマで、普通に楽しめる作品でした。舞台劇とドラマの内容が重なる作りになっています。興味があればご覧下さい。
 
 
《感想です》
 
本作はもともとが舞台劇だそうで、この映画を監督したアレクシス・ミシャリクが、そちらも監督・原案・脚本を担当していて、2016年にモリエール賞を受賞したとのこと。物語の舞台は1897年のパリで、今から120年も前のこと。若手の劇作家のエドモン・ロスタンがスランプに苦しみ、台本を書けないでいる姿から始まります。3週間後に迫る締め切りに向けて、彼が「シラノ・ド・ベルジュラック」を生み出すまでを描きます。
 
私の年代だと「シラノ・ド・ベルジュラック」というと、スティーブ・マーティンが鼻の大きな(というか異常に鼻が長い)消防署長を、当時人気だった〝人魚姫〟のダリル・ハンナが彼が恋するロクサーヌを演じたロマンチック・コメディ「愛しのロクサーヌ(87)」を思い浮かべるかたも多いのではないでしょうか。私はこのコメディで「シラノ・ド・ベルジュラック」という舞台劇があることを初めて知ったクチでした。
 
その後は名優ジェラール・ドパルデューがシラノを演じた舞台劇の映画化のずばり「シラノ・ド・ベルジュラック(90)」ですかね。密かに恋する愛しのロクサーヌへ、本来なら恋敵になるはずの友人のために彼女へのラブレター(詩)をせっせと代筆するという何とも切ないお話なわけでして。そして、最後に彼女が〝あなただったのね!〟となるあたりは、トラジェディではあるものの、何ともロマンチックではあります。
 
本作「シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!」は、そういう舞台劇の基本的な骨格を巧みに創作秘話に置き換えながら進んでいきます。若きエドモンの前に立ち塞がる難題を乗り越えていくところはサスペンスもあって面白かったです。多くの個性的な(漫画的にデフォルメされてはいますが)登場人物たちが笑わせてくれますし、基本的に悪い人が出てこないので、どんな方でも、最後まで気持ちよく観られる作品かと。
 
まあ、元々の名作舞台劇「シラノ・ド・ベルジュラック」がとてもよく出来ていることを考えると、それを取り込んだ本作が面白いのは当然であり、これは舞台版を作り上げたアレクシス・ミシャリク監督のの着眼点の勝利だったのかもしれませんね。惜しいのは主役のエドモンが美男子で、良い人すぎるところでしょうか、線が細いし人間的な魅力がもう少し欲しかったです。ご本人の写真をみるとちょっと違う感じなんですが。

この映画もいいですが、「シラノ・ド・ベルジュラック」そのものをまた観たくなりましたねー。
 
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1 私はお薦めしません
 
この項、終わり。