ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画 | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

ミッション・マンガル
崖っぷちチームの火星打上げ計画
 
2019年作品/インド/130分
監督 ジャガン・シャクティ
出演 アクシャイ・クマール、ビディア・バラン
 
2021年1月10日(日)、アップリンク吉祥寺のスクリーン3で、12時10分の回を鑑賞しました。
 

2010年、インドの宇宙事業の命運をかけたロケット打ち上げが失敗に終わり、責任者のラケーシュとタラは火星探査プロジェクトという閑職に異動させられる。誰もが実現不可能だと考える火星探査だったが、タラは家庭での料理方法をヒントに、小さなロケットで探査機を火星に送る画期的なアイデアを思いつく。低予算ながらプロジェクト始動を承認されたものの、集められたスタッフは経験の浅い女性ばかり。始めはバラバラのチームだったが、ラケーシュのリーダーシップと女性たちの節約アイデアで、僅かな予算で打ち上げを成功させるべく結束していく(以上、映画.comより抜粋)、という物語です。

 
1月11日は成人の日。今年は新型コロナウィルスの影響で成人式が中止になったところが多いよう。人生に一度のお祝いの式典、本人も残念でしょうが親御さんのお気持ちも察してしまいます。また、福井、石川、富山、新潟を中心に日本海側では記録的な大雪が。ニュースを通じて道路で立ち往生する車の列や、玄関の除雪、屋根の雪下ろしをされている方々の姿を見ていますが、事故や怪我がないことを願います。東京も明日は積雪がありそうとの予報です。
 
科学者としての誇りやこだわりに胸熱
 
未見の方にはぜひご覧いただきたい「パッドマン/5億人の女性を救った男(18)」の監督が脚本を書き、その時の助監督が監督をしたという作品です。同作で〝パッドマン〟(女性用生理用品をインドで開発し広めた人)を演じたアクシャイ・クマールがこちらでも火星探査プロジェクトの責任者を演じています。どちらも実話に基づいて作られているのですが、この「ミッション・マンガル」も面白くて、心にジーンときました。
 
時は2010年ということなので今から約10年前のこと。インドで宇宙事業の命運をかけたロケットの打ち上げが失敗に終わり、責任者だったラケーシュは解任されて誰も真剣に可能とは考えていない火星探査プロジェクトのリーダーという閑職へ追いやられてしまいます。これは、そこからの起死回生の物語なのですが、ラケーシュはNASAに頼らず、あくまでも〝自国〟での科学技術による成功にこだわり、メンバーの選定に入ります。
 
最初のロケットの打ち上げ失敗により、周りは今のインドの科学技術の水準ではこのプロジェクトは達成できないと既に確立された外部(アメリカ)の技術や人材を入れようとするのですが、ラケーシュはあくまでも純粋にインドの科学者による実現にこだわるところに、科学者としての矜持が見えていいんですよね。教えをこうことは容易いと思うのですが、自分たちにもできるという信念や志しが観ていて胸を熱くしてくれます。
 
▼ラケーシュが飄々としていて、いい味を出してます
 
仕事と個人の問題が見事にシンクロしていく
 
予算が限られていることからトップクラスの人材ではなく、その次のレベルで実力があるのに訳ありで燻っている人たちを選んでくるところ。雇われ監督がポンコツ球団を再生し優勝を目指すような感覚で、なんとも面白いですね。女性で家族があるため勤務時間に制約があったり、歳を取りすぎてしまい若い頃の情熱を失っていたりー。でも本当はみんな一流の科学者なんですよね。そんな連中を奮起させて成功に導こうと。
 
結果としてラケーシュのもと女性5人に男性2人という女性を中心としたプロジェクトチームになるのですが、みんな訳ありでそれぞれ事情を抱えているところがドラマの肝になっています。メンバーの前に立ち塞がる壁を創意工夫で乗り越えていく姿が描かれており、それがプロジェクトのイシューの解決のみならず、各人が人生の上で抱えている問題をも克服するところと重なり、ラストは女性讃歌になっていく点が素敵なんです。
 
インドにおける女性を取り巻く社会環境が大変なことは「パッドマン」でも描かれていましたが、「ミッション・マンガル」でも同じく女性たちを取り巻く問題が描かれています。このドラマは2010年からの数年間の話であり、かつ科学者というグローバルレベルで高い水準の教育を受けた人たちの集まりであることを考えると、それでもまだましな環境なのかもしれないですね。それから10年が経ったいまはどうなのでしょうか。
 
▼出産を控えながら仕事を続けるメンバーもいます
 
熱く〝夢〟を追い続けることのすばらしさ
 
リーダーのラケーシュが、メンバーの要として活躍するタラに〝夢は寝ている時に見るものじゃない。君を眠らせなくするものなんだ〟と語りかけるいいセリフがありました。こういうストレートなメッセージ、インド映画のいいところですね。分かりやすいサクセスストーリーですが、寒い冬に心が熱くなりましたよ!どんなときも夢を大切に、夢を追いかけることを忘れてはいけないことをこの映画は思いださせてくれます。
 
チームがバラバラになりそうなとき、そのタラが一人ひとりに話しかけるのです。〝なぜみんなは科学者を目指すことにしたの?〟。子供の頃に感じたあのワクワク感、ドキドキ感をもう一度思い出してみようと。みんなの夢を乗せた探査機が火星へ向かうところ、手に汗を握り、涙ものです。なんとか無事に火星まで辿り着いて欲しいと、自分の子供を見守るような気持ちで、息を呑みながら画面にかぶりついて観ておりました。
 
ちなみに日本でも火星探査機〝のぞみ〟を1998年7月に打ち上げておりまして、こちらはトラブルのために当初の予定より4年遅れて2003年12月に火星に接近したものの、周回軌道に乗せられず失敗に終わっているのですね。日本の宇宙技術が高い低いは置いておいて、インドがそういうなかで低予算かつ限られた期間にアジアで初めて火星の周回軌道に自分たちの探査機を乗せたというのはすごいことなのだなと純粋に思いました。
 
▼みんなの夢をのせてロケットは打ち上げられます
 
ドラマとして面白く見せるためにプロジェクトメンバーを7人に絞り込むなど、かなり簡素化し事実と異なる話も盛り込まれているような感じもあるのですが、その辺りはどうなのでしょうね、とても面白かったですけど、笑。「ライトスタッフ(83)」「アポロ13(95)」「ドリーム(16)」なんかをいいとこ取りして、〝ごった煮〟にしたような感じですかね。どなたがご覧になってもきっと満足できるのではないかと思いました。
 
インド映画らしく途中にミュージカルシーンもありましてサービス満点。機会がありましたらぜひ軽い気持ちでご覧ください。ちなみに〝マンガル〟は火星神のことらしいです。
 
トシのオススメ度: 4

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