嵐電(Amazon prime) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

嵐電(Amazon prime)

 

2019年作品/日本/114分
監督 鈴木卓爾
出演 井浦新、大西礼芳
 
2020年1月6日(水)の夜、自宅にて鑑賞しました。
 

鎌倉からやって来たノンフィクション作家の平岡衛星は、嵐電の線路のそばに部屋を借り、嵐電にまつわる不思議な話の数々を取材しはじめる。そこには、衛星と彼の妻・斗麻子が、かつてこの地で経験した出来事を呼び覚ます目的があった。修学旅行で青森から来た女子学生・北門南天は、電車をスーパー8で撮影する地元の少年・子午線と出会う。一方、太秦撮影所の近くにあるカフェで働く小倉嘉子は、撮影所にランチを届けた際、東京から来た俳優・吉田譜雨に京都弁の指導をすることになるが(以上、映画.comより抜粋)、という物語です。

 
公開当時に見逃していた京都の嵐電を舞台にした映画。ポスターの感じがほのぼのとしていて気になっていたのです。京都は出張か旅行でしか行くことがないのですが、嵐電といえば芸事の神様として有名な車折(くるまざき)神社への最寄駅がありまして、ここに行くと芸能人が奉納した朱色の玉垣がわんさかあり、それを眺めているだけでも時間の経つのを忘れます。京都、コロナ禍が終息したらゆっくり行きたいですね。
 
 
《感想です》
 
嵐電(嵐山本線)の様々な駅を舞台にして、三組の男女の不思議な恋愛話が同時並行的に進んでいきます。それぞれの話は、嵐電が関係している以外には特別なつながりはないのです。ただ、太秦広隆寺駅に隣接する形で営業している喫茶店兼お香店がありまして、この憩いの場にみんなが知らず知らずのうちに集まってきてなんとなく交錯するという感じで、各々のカップルが互いに影響を及ぼし合うようなことはないのです。
 
なので三つの恋愛話を別々に観ている感じ。共通点として、三組の男女の物語に嵐電にまつわる都市伝説的な話が組み込まれていて、そこの趣向は面白いなと感じました。八ツ橋の〝夕子〟のイラストが描かれた電車にカップルで乗ると必ず別れるとかそういった類の噂。各地域にありますよね、大阪城公園でデートすると別れる、とか、笑。京都の人間じゃないと分からないですが、地元ネタ満載のドラマなんだと思います。
 
また中年の夫婦の話、若い男女の話、高校生の男女の話と年齢的にも差別化されてますが、いろんな恋愛模様が語られているあたりも意識して書かれているのでしょうね。私は俳優の卵みたいな青年と、撮影所にお弁当を届ける人見知りの激しい女性との話が良かったですね。女性がセリフの稽古に付き合ううちに打ち解けてきて、でもなんかしっくりいかないことに対して腹を立てるあたりとか〝あるある感〟いっぱいでした。
 
でもこの映画の主役は、なんといっても〝嵐電〟そのもの、そしてレールの周辺にある〝京都〟そのものなんだと思います。どこかに必ず映っている今の電車の姿。そして最後に喫茶店で上映される8ミリフィルムのなかの昔の懐かしい電車と周辺の街並み。地元の方には堪らないと思います。嵐電のようにゆっくりとしたスピードでガタゴト、ガタゴトと進むドラマ。京都と電車が好きなひとには思わず笑みと涙が溢れるかと。
 
素朴なテイストで、ほのぼのとしていて、しかも摩訶不思議な迷宮に陥ってしまったかのような映画でした。キツネとタヌキに化かされていたのかもしれないです。だからかもしれませんが、ドラマはどの恋愛話にのめり込んでいくようなところが無かったですかねー。そのなかで一番分かりやすかったのが若い男女のお話かなー、と思います。あと喫茶店のマスターのとぼけた感じ、肩の力の抜けた味わいが良かったですね。

 出ている俳優のみなさんも初々しくて良い作品なのに、鑑賞後のなんだかつかみどころのないボーっとした感じ。それそこそが狙いなのかな?これは好き嫌い分かれそうですー。
 
トシのオススメ度: 2

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3 良かったです

2 アレレ?もう一つです

1 私はオススメしません