街角/桃色(ピンク)の店(DVD) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

街角/桃色(ピンク)の店(DVD)

1940年作品/アメリカ/99分
監督 エルンスト・ルビッチ
出演 マーガレット・サラヴァン、ジェームズ・スチュワート

5月23日(土)の夕方、自宅にて鑑賞しました。

主人のマトチェックは35年間この商売をして、かなりの財産を蓄えたが子供がなく、家庭はさびしかった。それだけに商売は熱心で、店員も六人いる。若いクラリックは9年前に丁稚にきて今は一番の古顔で販売主任格であった。彼よりは年上のヴアダス、妻子あるビロヴッチ、女店員のフロラ、イローナ、丁稚のペピの五人がクラリックの下で働いている。クラリックに対する主人の信用は対したもので、晩食によばれるのも店員では彼一人である。店は夏の買い出しで忙しかった。そこへクララという女が販売係りに雇って貰いたいといってきたが、六人でも多すぎるくらいなので、クラリックは独断で断った。そこへ主人が顔を出したので、彼女は今度はマトチェックに申し込む。折しも一人の女客が来たのを捕らえ、クララはクラリックが売り物にならぬと言って仕入れを断るはずになっていた煙草入れを巧みに売り付けた。クララが店員となりクラリックの胸は穏やかではなかった(以上、amazonの商品情報からの抜粋)、という物語です。

エルンスト・ルビッチ監督作品は遠い昔にグレタ・ガルボ主演の「ニノチカ(39)」を観たことがあるだけなのです。ドイツ出身の監督さんで、ビリー・ワイルダーのお師匠さんですね。そのルビッチの「街角/桃色の店」です。ジェームズ・スチュワート主演ということで、ずっと観たかったのですが、この度はDVDをネットで購入しました。めちゃくちゃ笑い、そしてホロっとさせられました。これは文句なくオススメです!


《感想です》

この作品は、私が若い頃に「キネマ旬報」で映画を中心にしたコラムを連載されていた小林信彦さんが、ご自身の著書「ぼくが選んだ洋画・邦画ベスト200(文春文庫)」の中に入れておられ、〝名作〟とされていたのが記憶に残っています。そして私の年代の方ならたぶんご覧になった方も多いであろう「ユー・ガット・メール(98)」の元ネタでもあります。そうかー、この映画も、もう20年以上も前の作品なのですね。

ということで、これはロマンチックコメディです。舞台はハンガリーのブタペストの街なかにある小さな輸入雑貨店〝マトチェック〟。ここで長年働くクラリックは、最近文通を始めた見ず知らずの女性がいて心をときめかせています。ある日その雑貨店にクララという女性が職を探してやってくるのですが、ふたりは上司と部下という関係になるもののソリが合わず。そんな中でクラリックは突然、社長に解雇されてしまうのでした。

観客には、最初からこのクララがクラリックの文通相手だというとこはピンとくるのですが、ふたりがそうとは知らずに出会い、クラリックが先に気づきクララに惚れていくところがいいですね。一方でクララは文通相手に入れ込んでいてクラリックのことは眼中になく、ふたりの仲がどんどんおかしくなっていく。このふたりは果たしてうまく結ばれるのだろうか?というところで、ホワイトクリスマスを迎えるという心憎さ。

雑貨店に集う面々が何れも個性的で、実にいいアンサンブル。気のいい社長マトチェック(オズの〝魔法使い〟のフランク・モーガン)、妻と二人の子供を抱えた小心者の中年男性、上の顔色ばかり見ているいけすかないキザな男、妙にしっかりした配達係の若い見習い少年など、店員たちのやり取りに終始笑いっぱなし。そしてこれが最後にはホンワカとする、いい話なんですよね。クリスマスに観るのにも最適な感じです。

ジェームズ・スチュワートは「街角/桃色の店」と同じ1940年に「フィラデルフィア物語」にも出演(アカデミー賞主演男優賞受賞)。前年1939年には「スミス都に行く」ですから、大活躍です。フィルモグラフィを見るとこんな人気絶頂のなかで1942年から1945年までひとつも作品がない。第二次大戦中、彼は軍隊に志願し爆撃機パイロットだったんですね。その復帰作が、あの「素晴らしき哉、人生!(46)」だったとは。

しかし、これ白黒映画なんですが何故にタイトルが〝ピンクの店〟なのか? そちらをご希望の方は、虎丸さんのブログへGO!です、笑。



トシのオススメ度: 4
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この項、終わり。