さびしんぼう | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

さびしんぼう

1985年作品/日本/112分
監督 大林宣彦
出演 富田靖子、尾美としのり、藤田弓子

11月4日(日)、TOHOシネマズ六本木のスクリーン9で、13時35分の回を鑑賞しました。

尾道を舞台に、少年の淡い恋、彼の前に突然現われた少女時代の母親“さびしんぼう”と少年との交流を描いたファンタジー(以上、映画.comより抜粋)、です。

東京国際映画祭での上映。本当は大林宣彦さんの新作が観たかったのですがチケットが取れず。こちらに切り替えました。なんとフィルム上映(英語字幕付)でした(カタカタカタカタ)。そして、関係者トークセッションで富田靖子さん(号泣)と小林稔侍さんがご登壇。ちなみに大林宣彦さんは体調不良でご欠席でした(心配)。







《感想です》

この作品は私が大学生の頃に大阪は難波の敷島シネマで初めて観たのですが、もうとにかく感極まりまして、翌日か翌々日だったかもう一度映画館へ通うというくらい大好きな作品でした。翌年も、八尾にあった西武百貨店で開かれた大林宣彦監督特集で観て、また社会人になってからはLDを、最近になってDVDも購入。都合、何回観たことか。

私だけが本作にこんなに舞い上がっていたのかというと決してそうではなくて、この映画は1985年のキネマ旬報の読者選出ベスト10の日本映画部門の第1位だったのです。かつ映画評論家選出ベスト10でも第5位となってまして、その年を代表する一作であったのです。それくらい映画ファンに愛され、かつ作品的にもしっかりしたものだったのですね。

友人や先生を巻き込んだ高校生特有の本当にバカらしい(でも、これがないと物足りない)ドタバタ喜劇の喧騒と、若い頃特有のセンチメンタルな恋物語の静けさや緊張感とのギャップがいいんです。合成技術を使わずに編集だけで〝さびしんぼう〟を登場させ退場させるテクニック、全編をいろどるショパンの「別れの曲」。ラストは胸が震えました。

尾道三部作の最後を飾る一本で、「転校生(82)」では小林聡美さんで尾道の夏を、「時をかける少女(83)」では原田知世さんで尾道の春をキャメラに収めた大林監督が、本作「さびしんぼう」では富田靖子さんで尾道のもの悲しい秋から冬の姿を撮らえています。それが、この不思議な恋の物語にぴったりで、まさにマジック!

富田靖子さんは「アイコ十六歳(83)」でデビューし(すごい確率のシンデレラガール)、「ときめき海岸物語(84)」を経て、本作が決定打でしたね。その後は「姉妹坂(85)」「BU・SU(87)」「ほんの5g(88)」と自分が若い頃はずっと追いかけて観ていましたが、最近はまた色んな映画に出演されるようになって嬉しいかぎりです。

今回のフィルム上映では映像が色褪せており、一瞬とんでしまう箇所があったものの、はじめて観たときの感動は何十年たった今もそのままでした。


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2 アレレ? もう一つです
1 私はお薦めしません


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