ロッキー4/炎の友情(prime video) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

ロッキー4/炎の友情(prime video)

1985年作品/アメリカ/91分
監督 シルヴェスター・スタローン
出演 シルヴェスター・スタローン

宿敵であり親友であるファイター、アポロを絶命させたソ連の殺人マシーンドラゴに挑戦するロッキーの雄姿を描く(以上、映画.comより抜粋)、物語です。

今月公開の「クリード/炎の宿敵」を観る前に、その物語の背景となっている本作を鑑賞することに。これは学生の頃に一度鑑賞しているはずなのですが、あまり記憶には残ってないのです。90分ということで短く、単純明快なストーリーなので何も考えずに観るには最適かと。

偉大なるマンネリ、単純で手堅いストーリー展開

この映画。90分しかないのですが、これが時間を見ながら鑑賞していると、見事に30分単位でドラマが構成されているのです。最初の30分が良きライバルであったアポロ・クリードとソ連から来たサイボーグのような肉体を持つイワン・ドラゴとの対戦から、アポロの死までを描いています。

次の30分では、ロッキーがドラゴとの対戦を決意し、妻の反対を押し切ってソ連へ渡り、一面銀世界の極寒の大地で過酷なトレーニングを積む姿が描かれます。そして最後のの30分は、ソ連高官と国民が見守る中でロッキーとドラゴとの死闘が描かれていき、ロッキーの大演説で幕を閉じます。

もうこのパターンであれば、敵だけ変えればいくらでも新しい作品が生み出せそうなのですよね。でも、面白くないのか?と問われれば、面白いのです。偉大なるマンネリとでも呼びたくなるようなドラマ展開なのです。これは脚本家としてのスタローンの手腕なのでしょうね。

▼アポロ・クリード対イワン・ドラゴ

過去作のフィルムの使い回しとロックでつなぐ

もともとスタローンは脚本家として名をあげた人ですよね。「ロッキー(76)」の脚本を映画会社に売り込む際に、自分を監督・主演にすることを契約に織り込もうとしたのは有名な話で、さすがに映画会社もリスクが大きいと判断し、監督はジョン・G・アビルドセンになったという。

しかし、この「ロッキー4」はあまりにもお話が短絡的で、演出もミュージックビデオを何本も繋いだような手抜きの印象が残ってしまうのですね。この作品では、ロッキーの最大のライバルであり盟友のアポロ・クリードが亡くなるのですが、その扱いも杜撰すぎるように感じます。

「ロッキー3」でも使われたサバイバーの〝Eye of the tiger〟や同〝Burning Heart〟、ジャクソン・ブラウンの〝Living in America〟などが流れるいくつかのシーンは、丸々一曲使われているのはあまりに冗長で、かつ過去のシリーズの名場面の再利用は〝演出放棄?〟という感じを受けます。

▼ロッキー・バルボワ対イワン・ドラゴ

スタローンのアカラサマだけど巧みな悪役づくり

スタローンの敵役作りといのは「ロッキー」シリーズに限らず、「ランボー」シリーズでもそうでしたが、すごく単純明快で大衆を巻き込むことに長けているのですよね。この「ロッキー4」では、まだ冷戦時代にあった敵国のソ連のボクサーを相手にし、アメリカVSソ連という構図に。

しかも、アポロ・クリードを殺したということでイワン・ドラゴを血も涙もない男のように描いていますが、ドラゴを不必要に挑発し、5年のブランクがあるのにトレーニングも積まずにいきなりリングに上がった、あるいは上がらせたアポロとロッキーの側の責任には全く触れないのです。

そして何とロッキーとドラゴの闘いのあとは、ロッキーの「2000万人が戦うよりはずっといい。我々はみんな変わることができるんだ」という陳腐な演説と星条旗に身を包んだ姿に、ソ連高官や観客が拍手喝采するという、アメリカ人に何とも都合の良い、悪い気のしない締め方なのですね。

▼まあチョット、どうなのかな?と思う敵役

やはり「ロッキー」シリーズは一作目がいちばん良かったですね。エイドリアンも、決して綺麗なわけではなく、地味で控えめなところが良かったですよね。成功したロッキーの姿はアメリカンドリームなのかもしれませんが、白亜の豪邸やランボルギーニは彼には似合わないのです。

さて、「クリード/炎の宿敵」は、どのようなお話になっているのでしょうね。

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