Vision ビジョン | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

Vision ビジョン

2018年作品/日本・フランス/110分
監督 河瀬直美
出演 ジュリエット・ビノシュ、永瀬正敏

6月16日(土)、新宿ピカデリーのシアター10で、13時45分の回を鑑賞しました。

フランスの女性エッセイストで、世界中をめぐり紀行文を執筆しているジャンヌは、あるリサーチのために奈良の吉野を訪れ、山間に暮らす山守の男・智と出会う。智は、山で自然とともに暮らす老女アキからジャンヌとの出会いを予言されていたが、その言葉通りに出会った2人は、文化や言葉の壁を超えて次第に心を通わせ、さらに山に生きる者たちとの運命が予期せぬ形で交錯していく(以上、映画.comより抜粋)、という物語です。

河瀬直美さんの作品は最近のあん(15)」「(17)」の二本しか観たことがなく、カンヌ国際映画祭で新人監督賞を最年少で受賞した「萌の朱雀(97)」や同映画祭で審査員特別大賞を受賞した「殯の森(07)」は未見です。でも、その二本が私のツボにはまり良かったので、本作にも結構期待をして映画館に足を運びました。

すみません、どうしても内容が理解しきれないのです

それでこの映画の感想ですが、大変恐縮なのですが私の鑑賞眼ではチョットついていけない作品でした。半分ウトウトしたところもあり、顔を洗って出直したほうがよいのかもと思う反面、この映画に再度1800円をだしますか?と問われると他にも観たい作品がワンサカあるので、もういいかなという感じです。

人の何十年の寿命では決して推し量ることのできない自然のサイクル。森の精が生まれてから死ぬまで、そしてまた生まれ変わるという輪廻転生を描いたファンタジーとでもいいましょうか、えらく哲学的な内容でした。地球規模の時間感覚や視点で見ないといけない作品なのかもしれません。でも、もう少し分かりやすければ。

▼永瀬正敏さん、国際的に活躍されてすごいです

でも、出演者の存在感や映像はしっかりしていて見応えあり

地味だけど存在感ある永瀬正敏さんの演技は良かったし、夏木マリさんの1000年生きているという森の化身とでもいうべき妖怪のような老婆も不気味でした。岩田剛典さんはあの童顔が生まれたばかりの若さを象徴して活きていたと思います。そして、何よりジュリエット・ビノシュが出ているということ。しかも永瀬正敏さんとのラブシーンがあるとは想像もしてませんでした。

奈良県の吉野の森を撮影した映像もとても綺麗で、ため息が出るほど。しかも陽光に輝いてる新緑だけでなく、燃え上がるような紅葉の空撮場面があって思わず息を呑みます。こういうところは河瀬直美さんの十八番なのでしょうね。今回は、そこに〝火〟が使われていて、それがまた森の緑に映えて配色が素晴らしいのですよ。あそこはCGなのでしょうか。

▼新緑の吉野の森が目に鮮やかで見応えあります

海外資本を受けてグローバリゼーションの中で闘う監督

これは日本資本だけでは絶対に成立しない、フランスの支援があって成立するような内容です。先日の日経新聞にも書かれていましたが、カンヌ国際映画祭などを通じ日本人の監督がこのように海外とコラボレーションして世界で勝負していくということにはとても価値があると思います。映画界もグローバル化のなかで揉まれて発展するのですね。

最近では黒沢清さんが「岸辺の旅(15)」でカンヌ国際映画祭の〝ある視点部門〟で監督賞を受賞後に撮った「ダゲレオタイプの女(16)」がフランスとベルギーの資本を得て、確かオール海外で、海外スタッフを使って撮影した作品でした。それでもしっかりと黒沢清のテイストがあって非常に面白かったことを記憶しています。

▼最初は夏木マリさんとは全く気づきませんでした

難解な映画ではありますが、観るべきものがないわけではなく、評価される方がいても不思議じゃないです。本当にこの映画の価値を確認されたい方は、ぜひともそちらのレビューを探してご覧いただくことをお薦めさせていただきたいと思います。私はどうも、観念的な映画は得意ではなく、ストーリーがないとダメなのかもしれませんえーん

オススメ度: 2
5 必見です
4 お薦めです
3 興味があればぜひ
2 もう一つです
1 私はお薦めしません


この項、終わり。