美女と野獣 | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

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美女と野獣

2017年作品/アメリカ/130分
監督: ビル・コンドン
出演: エマ・ワトソン、ダン・スティーブンス

5月4日(木)、TOHOシネマズ新宿のスクリーン9で、9時30分の回を鑑賞しました。満席ですね!

魔女に呪いをかけられ、醜い野獣の姿に変えられてしまったひとりの王子。魔女が残していった1輪のバラの花びらがすべて散るまでに「真実の愛」を見つけなければ、永遠に人間に戻れなくなってしまう。希望をなくし失意の日々を送っていた野獣と城の住人たちの前に、美しい町娘ベルが現れる。自分の価値観を信じて生きるベルは、恐ろしい野獣の姿にもひるまず、彼の持つ本当の優しさに気づいていく(以上、映画.comより抜粋)、という物語です。

私が幼少だった1970年前後は丁度、ディズニーアニメがパッとしなかった時期でした。

母親に連れていってもらったディズニーアニメが、たぶん再映だったであろう「101匹わんちゃん61)」と、新作「ロビン・フッド73)」であったことを覚えているのですが、子供心にあまり面白くなかったですね爆笑

 

ディズニーアニメの最盛期はもっと前、いわゆる名作と言われている作品の多くは1950年代の半ばあたりまでで、「眠れる森の美女59)」以降は、タイトルを見てもディズニー作品という印象がありません。それが、再び人気を取り戻したのがたぶん「リトル・マーメイド89)」だったのではなかったのかと思います。

 

このディズニーブランドの復活を語るときに欠かせない要素の一つが、作曲家アラン・メンケンの存在でしょう。「リトル・マーメイド」に続くのが、「美女と野獣91)」「アラジン92)」で、これらの作品は、魅力的なキャラクターとともに、必ず美しく印象的なテーマ曲とセットで思い出されます。この3作で音楽を担当したアラン・メンケンはアカデミー賞の作曲賞を受賞していますね。

 

さてさて、丁度、うちの長女が子供のころにビデオやレーザーディスク(DVDはまだ無かったですよ)で繰り返し見ていたのが、この「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「アラジン」なんですよね。私も何回、これらを子供に見せながら寝ていたのかわかりませんですウインク

 

そして、テレビの画面をみながらアラン・メンケンの主題歌をたどたどしく口ずさんでいた子供たちが、今は成長して20歳半ばから30歳あたりになっているのかなと思います。で、実写版「美女と野獣」ですが、このかつて子供であって、今は子供をもつ親になっているかもしれないディズニーファンの期待を裏切らないように出来ているのですね。

 

本作は、基本的にアニメーション版の絵の世界が忠実に実写化されていています。もちろん素晴らしい音楽もそのまま使用されており、カット割りのテンポ、ある時には構図までそっくりそのまま再現されていて、それでいて全く違和感のない映像の技術力の高さに驚きました。また、豪華絢爛な美術・衣装・セット、この世界観を創り出すのに、いったいどれだけ多くの人の手と時間とお金がかかっているのでしょうか。

 

!最初の見せ場、青い服を着たベルが本を読みながら街を歩くところ、アニメのリズム感と絵のままです。

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これらを総合的にまとめ上げた監督のトム・コンドンには「ドリーム・ガールズ06)」という傑作ミュージカル映画があって、実写版「美女と野獣」の全体の完成度の高さは、彼の力量によるところも大きかったのでしょう。

 

で、やっぱり心を揺さぶられるのは、そして心躍るのは、美しい映像とともに流れるアラン・メンケンの音楽なのですよね。音楽の力って凄いもので、カナリアイエローにゴールドの刺繍をあしらったそれはそれは美しいドレスを着たベルが、青いタキシード姿の野獣とダンスをする名シーンでは、イントロが流れてきただけで涙が出てくる始末・・・。子供が小さかった頃のこととか、色んなことが思い出されたのですよね。

 

!アニメでも最高に美しかったダンスシーンを見事に再現おねがい

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さて、本作では実写化にあたって大人から見ると説明が足りないと思われる部分についてはストーリーが補強され、新たなスコアがアラン・メンケンによって書き起こされているのですが、それがまた成功していましたね。

特に、ベルが読書好きであることを生かしてベルと野獣の心の変化をより自然な形で描いているところには感心しました。

 

キャスティングでは、エマ・ワトソンが素晴らしかったです。今後は、「ハリー・ポッター」ではなく「美女と野獣」がエマ・ワトソンの代表作になるのではないでしょうか。一方、私にとって驚きだったのは野獣(ダン・スティーブンス)のほうですね・・・恐くないんですよ。むしろ、かっこいいというか。粗野ではあるのですが知性もあって、ガストンと対比するのであれば、もっともっと恐ろしい存在であってもよかったように感じた次第です。

 

ガストンを演じたルーク・エヴァンス、ガストンの従者ル・フウを演じたジョシュ・ギャッドのコンビについては、なかなかよかったですよ。ガストンがあまりにも単純な悪者として描かれていますが、それはオリジナルのアニメーションからそうでした。ゲイっぽく描かれているル・フウも話題になっていますが、私はそこからくるコミカルっぽさがよかったですね。

 

!超ジコチューのガストン。このシーンもアニメでありましたねえ。

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エンディングのカーテンコールでは、ほとんど素顔を表さない多くの名優が登場して、これがまた楽しいのですね。

 

これだけの内容なら、ゴールデンウィークに1800円出して見る価値は十分にあるのではないのかな、と思いました。ただし、130分とオリジナルのアニメーションと比較すると40分も長く、小さなお子さんが耐えられる時間ではないのでご注意ください。

 

オススメ度: 4
5 必見
4 お薦めです
3 興味があれば
2 もう一つです
1 駄作


この項、終わり。