これは、ベートーヴェンに関する著作の中では、ほとんど定説になっていますが、彼の作品は初期、中期、後期と、三つの時期に分けるのが分かりやすいようです。それぞれに名作と言われる作品があるので、どの時期の作品を好きになるかは、人によって違いますし、好みが変わることもあるので、時期による優劣をつけることは難しいと思います。もちろん、明確な線が引けるわけではありませんが。

[ご参考①] それぞれの時期の名作を挙げると、次のような作品です。

初期 ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」 pf.バックハウス

https://www.youtube.com/watch?v=IYA6jbkgvgM

中期 交響曲第3番「英雄」 カラヤン指揮ベルリンフィル

https://www.youtube.com/watch?v=GKFStVrKNU4

後期 ミサ・ソレムニス カール・ベーム指揮ベルリンフィル他

https://www.youtube.com/watch?v=MailMPY02Y0

 

たくさん名作がありすぎて、代表作を挙げるのに苦労しますが、三つの時期の特徴を知りたいと思えば、交響曲やピアノ・ソナタなど、同じジャンルの曲を作曲順に聴くのが一番わかりやすいと言われています。中でも弦楽四重奏は、作曲時期により、はっきりと分けることが出来るようです。

[ご参考②] 弦楽四重奏曲は、何曲かを固めて作曲しています。

https://www.youtube.com/watch?v=de-NLJ0doao&list=PLevTfZ_AlHrqGs-eI59tty7M_qXiZLot5

初期 弦楽四重奏曲 第1番から第6番

中期           第7番から第9番、第10番、第11番

後期           第12番、第13番から第15番、第16番

 

さて、このようなことを書いたのは、ベートーヴェンの中期の作品には、「感動を与える」的な勢いがあるのに比べ、後期の作品からは、そのような意図が消え、ひたすら同期する魂を求めているような気がするからです。

感動とは魂の微妙な振動であり、ともすると、勢いで与えられた感動には、時とともに泡沫と化してしまうような、一時的錯覚もあるのですが、自然に同期する感動が消滅することはありません。年齢的な嗜好だと言えるのかもしれませんが。