私が、このような荒唐無稽なことを書き遺そうと思った

のは、一度、自分の殻をすべて、脱いでみたいと思った

からです。思えば、この世に生まれて以来、ずいぶん私

は、「常識」なるものの洗礼を受けてきました。

 それは多分、生まれて間もない頃に、母親から「体罰」

で教わったことに始まり、社会に出てから無言の圧力を

体感することなどで、どんどん積み重ねられたように思い

ます。今となっては、相当重くなってしまいました。


 もちろん、一度身に着いてしまったものを、そう簡単に

剥すことができるとは思っていません。特に、意識もしな

いまま、当たり前になってしまったことなどは、私の生活

において、本能のようにさえなっています。

 その上、このような「常識」の大半は、社会人としての

日常には不可欠なものです。必ずしも「常識」とは、悪い

ことばかりではないと思っています

 それでも私は、できれば一旦、すべての「常識」を脱ぎ

捨てて、現代の見詰めたいのです。現実からの逃避かも

しれません。ただ、現代文明を批判するのに、この視点は

欠かせないように思うのです。


 ユートピアとは、単なる理想社会のことです。資本主義

に汚染される以前、しかも農耕に至るまでの狩猟時代に

目を付けています。もっとも、本気で狩猟時代に戻ること

を夢見ているわけではありませんが。

 資本や土地が独占されることのなかった時代に、労働

だけで生きてきた、昔の人間の素朴さの中から、ちょっと

した真実を見つけたいのです。それだけで、この試みには

意味があると思っています。

 日本で言うと、多分、縄文時代の中にヒントがあるので

はないでしょうか。縄文時代については、土偶や土器など

を見たことがある程度の知識だけしか、私にはありません。

これから少し、勉強しなければと思っているところです。