クラシック音楽と言えば、つい私は、ドイツやフランスの
音楽を思い浮かべてしまいます。けれども、音楽史的に
みると、むしろイタリアこそクラシックの祖国だそうです。
[ご参考①] 便利な概略史です。
http://www.yamaha.co.jp/edu/music/history/index.html
思い起こせば、ヴェネツィア楽派、クレモナにおける楽器
制作、イタリア・バロック、イタリア歌劇など、イタリアを音楽
に結び付けるものには事欠きません。ルネサンス以前から、
イタリアは音楽を学ぶ者の憧れの地でもありました。
私は、イタリアを代表する音楽家のパガニーニは伝説に
よって不当に貶められた作曲家だと信じています。すべて
の伝説を虚構とは思いませんが、純粋な心でパガニーニ
の音楽を聴くと、そのエネルギーには圧倒されます。
それなのに、名人芸をひけらかすためだけの軽薄な音楽
というパガニーニへの誤解は、純粋な音楽として聴くことを
妨げます。それは、聴き手だけの問題ではないと思います。
自分が弾けないのに、弾き手を非難することには抵抗が
ありますが、所謂伝説のパガニーニ的に弾こうとするあまり、
その真の音楽性を犠牲にしている演奏が多いのではないか
と思うのです。指揮者にも、原因があるかもしれません。
一度じっくりと、この第二楽章に虚心坦懐な気持ちで耳を
傾けてください。そこには、技巧に走る魔術師はいません。
自分の中にある純朴で直向きな憧れが、じわじわと聴こえ
てくるではありませんか。
どういうわけか私は、この楽章を聴いていると、シベリウス
の第二楽章を想ってしまいます。特に、気分が切迫して盛り
上がるところは、とても似ています。北欧と南欧の作曲家に
共通点があるというのは、何かミステリアスでもあります。
軽妙でありながら力強い生命感の溢れる第一楽章、心が
跳ねるような第三楽章も、青年期の私には、掛け替えのない
輝かしい音楽でした。
[ご参考②] シェリングの端正な演奏です。他の曲の演奏も
収録されていますが、冒頭がパガニーニです。
http://www.youtube.com/watch?v=Nkes9myotb0&list=PLCC421066D72BC234&index=11
[ご参考③] ギトリスの個性的な演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=H69LlVxtLTo&list=PL665CC40C5A600A82&index=2