さて、私が断定的に、今回の迎撃作戦を防衛族の戦略だと

言うのは、いよいよ最近になって防衛族が本性を見せ始めて

いるからです。本性とは、もちろん日本の軍国主義化にあり

ます。

 昔から、一国には外交に関して、ハト派とタカ派がいるもの

です。何事に対しても平和的解決を図る人たちと、軍事的な

解決を覚悟している人たちとの対立です。



 太平洋戦争の敗戦で、物心ともに壊滅してしまった日本は、

その復興に当たり、タカ派の存在を否定してきました。それは、

アメリカなどの戦勝国の占領方針でもありましたが、日本人の

意思の大半でもありました。 

歴史の皮肉で、意外に早く自衛隊が誕生するものの、軍備

への投資は敗戦前からは激減し、次第に社会資本や家計が

潤い始めました。だからこそ、日本人は、奇跡の復興を可能と

する努力を惜しまなかったのです。



 けれども、日本の軍備力の喪失を嘆く声は、地に潜りはして

いても、確かに息づいていたのです。それは、時間が反戦意識

の風化を招くことを見抜き、ひたすら臥薪嘗胆の時期を過ごした

のでした。

 その狙いは正確でした。考えてみれば当然のことでもあります。

金正恩が軍事力に頼っているように、これまでの歴史の中で、

軍事力の恩恵なしに、物質的に栄えた国はないのですから。



 平和主義者の私にとって、一番心配していることは、防衛意識

高揚のすぐ隣に、戦意高揚があることです。一国が戦争に突入

する前には、必ず国家によるアジテーションがあります。

 それは、憎しみや差別意識を誘発するものです。そして、人間

を攻撃的にしてしまうのです。それが狙いです。第一次世界大戦

でも、多くの国では、参戦することへの賛同意見が多かったので

した。それは、すべて後悔へと突き進んだのですが。