最近になって、メンデルスゾーンが見直されつつあるとの話を
聞きました。どこで読んだのかは、すっかり忘れています。ただ
私は、その話にとても大きな衝撃を受けたことを、今も、はっきり
覚えています。
それは、私には意外なことでした。とても、信じることができな
かったのです。 もちろん私が信じられないと言うのは、私には、
最も大切な作曲家の一人である彼が、これまで不当な評価を
されていたということです。
けれども、そのような身贔屓の感情を取り払うと、確かに、彼が
不当な扱いを受けていたことは事実のようです。
その原因は彼の家が裕福であったことと、ユダヤ人であることに
対する偏見であったように思われます。事実、ワーグナーは彼を
名指しで批判しており、ナチスは彼の曲の演奏を禁じたのでした。
そのように考えると、私がずっと聴いてきたメンデルスゾーンも、
その一部にしかすぎないことに気づかされてしまいます。夭折し
たために短い生涯でしたが、彼は多くの曲を創作しているのです。
この曲は、そのような、彼への批判を跳ね除けるのに相応しい、
芸術性の高いものです。前置きが長くなってしまいましたので、
曲については別稿とします。
[ご参考①]
ブロムシュタット指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団です。
http://www.youtube.com/watch?v=234S3hzZZhQ&feature=related
[ご参考②] ワーグナーのメンデルスゾーン批判の文(「音楽における
ユダヤ性」より)です。ユダヤ人への偏見が垣間見えます。
彼は、ユダヤ人も特別な才能が十分にあること、独自の立派で多様な文化を
持つこと、高く、鋭敏な自尊心を持つことなどを示してくれた。…… しかし、彼は
こうした優れたものを自ら用いもせず、我々が芸術に期待する心の奥底に触れる
ような力を、ただの一度も我々に与えはしなかったのである。