私は、マルキシズムが掲げた社会の階級闘争は、問題を

見誤っていたと思っています。現実の社会に存在するのは、

階級闘争ではなく、支配者と被支配者の闘争です。

 その証拠に、ロシア革命では、プロレタリアートの代表が

革命によって権力の座を占めると、たちまち独裁権力を揮い

ました。他の共産諸国も、これとほぼ同じように労働階級の

代表者が被支配者を支配したのです。

 支配者になりたい人は、必ず、他人を支配しようとします。

この支配欲は、人間の本源的に欲求でもあります。ただ、

人により著しく強弱があります。政治を志す人は、すべて、

他人を支配したい人たちなのだとさえ断定できるのです。



 一方、支配したくない人や、支配者の立場になれなかった

人は、政治を時の支配者に任せようと
ます。その限りでは、

支配者と被支配者には、支持・共存の関係にあります

 この関係の中では、マイナンバー制度は、システムの運用

ミスさえなければ、多くの事務処理を軽減することが可能だと

考えることができます。

 ところが支配者の中には、自分の私欲を満足させるために

支配の力を発揮しようとする人が少なくありません。そのよう

になったとたん、マイナンバー制度は、劇的に、国民に対して

牙を剥くようになるのです。



 支配者が利己的に支配するようになると、被支配者もその

支配者に政治を任せることができなくなります。そこで、選挙

によって悪い支配者が排除されるのが、所謂、民主政治の

自浄作用なのです。

 ところが往々にして、その自浄作用が利かなくなる場合が

あります。つまり、帝国主義や独裁政治では、頼りとしていた

自浄作用が消滅してしまうのです。ここに、現代民主主義に

恐怖政治が出現する隙があるのです。