聞き慣れない用語があるかもしれません。この文章は、

囲碁を知らない人に、その魅力を伝えるためのものです

から、囲碁の世界での独特の言い回しも、きっちりとした

ご説明をするつもりです。

 「布石、中盤、ヨセ」とは、勝負の経過を示しています。

囲碁は、縦横19列の碁盤の目に、黒白の碁石を交互に

置いていくゲームです。黒石を持つ人と、白石を持つ人と

が、囲んだ碁盤の目の数を争うのです。

 何もない碁盤に、黒石から置き始め、囲う目がなくなれ

ば終局です。終局というのは、囲碁では勝負のことを対局

と言うからです。将棋や麻雀でも使う言葉です。なお、石を

置くことを、囲碁では「打つ」と言います。


 布石とは序盤戦のことで、広い盤面に少しずつ石を配置

します。自分の思ったように打とうとしても、相手に邪魔を

されることがあります。相手の打ち方に応じて、いくつかの

構想を持たなければなりません。

 中盤とは、文字通り中盤戦のことです。布石が終わって、

黒白の石が競り合います。ここから、本格的な戦いが始ま

るのです。

 ヨセとは終盤戦のことです。碁盤の各所で起こる戦いが

一段落し、囲い合った碁盤の目の境界を、きっちりと区分け

することになります。この囲い合いも順番に打ちますから、

勝負にとっては重要なのです。


 「布石、中盤、ヨセ」は局面と言われます。局面によって、

作戦や考え方が全く違います。それぞれ、得手不得手が

あり、三つの局面のバランスがうまく取れていないと強くは

なれません。

 よく囲碁を人生になぞらえるのは、この三つの局面が、

人生を、学ぶ時代、活躍する時代、まとめる時代の三つ

の時代に似ているからです。そこに、囲碁の教訓が人生

の教訓につながる秘密があります。