私が小学六年生の時、世の中は騒然としていました。当時の
政治は、所謂、安保闘争の真っただ中だったのです。相互防衛
を織り込んだ新しい日米安全保障条約を巡って、文字通り世論
は二分してしまいました。
 1960年は、新安保締結の強行突破を図ろうとする政府に対し、

締結を阻止しようとする労働組合や全学連が、激しいデモで対抗

しました。デモで、東京大学の女学生が亡くなったことは、双方

にとって衝撃的なことでした。




 私のような団塊の世代に生まれた者が、安保闘争などというと、

その十年後に起こった過激派による安保闘争を思い起こす人が

多いと思います。


学生時代の私は、そのようなうねりの中に入ることもなく、

ノンポリらしく文学と音楽と囲碁三昧の日々を送っていました。


それでも、同人誌の仲間はデモに参加し、大学の音楽クラブ

には、ヘルメット姿のピアニストが飛び込んできました。私の

行動範囲では、街の碁会所だけ、平和な戦いが繰り広げられて

いました。



 確かに、十年の節目はありましたが、この二つの運動は大きな

社会のうねりになっていました。「アンポ ハンタイ」の掛け声

は、立場の違いはあっても、多くの人の耳に残りました。

 それから後は、安保の時に高揚したデモのエネルギーは、

バブルの中に閉じ込められ、バブルの崩壊とともに溶けてなく 

なったかのように見えました。


今でこそ、日米同盟などと言っていますが、「同盟」などと

いう言葉が使われるようになったのは、本当につい最近のこと

です。戦後教育や自虐的歴史観への批判などの高まりもあり、

次第に軍隊や戦争への抵抗感が弱まってきていると思います。




 そのような中で、反原発のデモが不気味にエスカレートしつつ

あります。私は、相変わらずノンポリですが、このような動きを

どのように評価すればいいのか、答えが見つからずにいます。


[ご参考] 86日の反原発デモ(9分あたりで、かなり紛糾しています)

http://www.youtube.com/watch?v=tYFZtVBTY7A&feature=youtu.be