自分のビジネスにおける専門技術を磨いたり、そのための知識を得ることは
とても大切であって、むしろ当たり前であると言って良いでしょう。
しかし、得た知識だけで飯が食えるか?となると全くの別問題でもあります。
ここを勘違いする人は多いと私は踏んでいます。
ごく稀に、ホントに勘違いして独立してしまう人がいるけど、これは現実を
目の当たりにする分まだマシでしょうね。現実は否応なしに現実を突きつけて
くれますから、プライドも過去の実績もへったくれもない、丸裸の自分を
認識させてくれます。だから何とかせにゃいかんとケツに火が付いて必死に
なります。
問題なのは会社にいながらにして、得た知識や自分のやり方を部下や同僚に
教えることを自分の仕事だと思い込む人です。
「私の仕事は部下の教育です。」と言っている人は、本当に「教育」そのも
ので生産性があるのかどうかを考えた方がいいでしょうね。
すなわち、本人の「教育」と言っている事柄に対して、部下や現場の人が
自分の稼いだ売上・粗利の中から実際お金を払うと言いますか?ということです。
「ありがとうございました。」「勉強になりました」「いつも感謝してます。」
と口では言いはするでしょうが、果たして実際に、身銭を削ってお金を払っ
てまで聞きたい話か?となったらどう反応するか、ということです。
部下育成や教育そのものは企業や組織にとっては重要かつ大切ではあります。
あるけれども、「あなたが教育することによって、果たして実際の生産性と
いう側面から見た場合、一体どれくらいの期間でいくらの回収ができると
仮説を立ててやっているのか?」と聞くと、ほとんどの人は明確な答えを
くれません。
投資対効果を明確にしないコストは、それは仕事でなく趣味と割り切ると
してみましょう。
趣味をやりたい放題やっておいて、「はぁ、今日はたくさん仕事をしたなぁ。」
と覚醒したとします。しかし、その人のその日は生産性はゼロです。
これを365日続けられたとします。この人の人件費は100%無駄と考えて
いいでしょう。
そのコストは、現場で働く人達が分散してカバーすることになります。
こういうのが、社長一人ならまだ何とかカバーできるかもしれません。
しかし、これがまた問題で、社長の側近みたいな役職名だけついたキャリア組が
付き出すと厄介です。
さらに無能側近が自分の取り巻きを作りたがって、業務時間中に誰かを捕ま
えて、教育・育成の名のもとにいらんことやり出すと、手に負えなくなります。
さらに、さらに、社内組織の出世というのは、こういう人達になることだ、
みたいな風潮はでき始めて、出世するということは、こういうことをやる人
になることだ、みたいな風潮ができ始めると、もう最悪で、いよいよ現場の
生産性だけでは、生産性ゼロのボンクラ分がカバーできなくなります。
この辺りから、現場の生産性の高い実力者からアホらしくなって、順に抜け
ていき始めます。
残る者は生産性に乏しい者の比率が高くなり、生産性の乏しい人達で生産性
ゼロの人のコストをカバーせねばならないという無茶苦茶な状況に陥ります。
こうなったらもうアウトです。全員で沈んでいく船にしがみついて奇跡を
願い続けるしかないでしょう。
奇跡は起きませんがね(苦笑。
社歴の長い会社、組織の階層が大きくなった会社、やたら間接部門が多くな
った会社というのは、結構この問題にブチ当たっているのではないでしょあか?
企業において、教育・育成は大切で重要です。
しかし、人に教えるという行為は、基本的に教える本人が「気持ちいい」と
いう感情を持っていることを忘れてはならないのだと思います。
他人から依頼される場合は別として、「誰かに教えたい。」とか「自分が
部下を育成するのだ。」と自分で思うのなら、自分の本来の生産性を誰よりも
果たした上で、それ以外の時間、具体的に言えば、就業時間外であるとか、
休みの日にとか、そういう時間に、「私に教えさせてもらえるチャンスを
下さい。」とお願いする気持ちを前提に持って丁度いいくらいだと思ってい
ます。
社内教育の時間と、そこに集まる人が多くなる程、その時間は生産性がゼロ
であることを忘れてはなりません。
と、言うことは、社内ミーティングや社内会議、社内研修といった類の集まりの
唯一の成果は、そこで知識を得ることでもなく、理解することでもなく、
そこに出席した全員が、出席後に具体的な行動が変わり、任意の期間内に
粗利がアップするか、コストがダウンするか、どちらかの成果が産まれる
こと以外にないということです。
技術や知識では、他人の行動動機を生み出せません。
ならば、生み出せる要素とは何なのか?
自分の持っている知識や技術をツールとして、他人の行動動機を促せるだけ
の要素とは何なのか?
企業内教育・育成に携わるというのであれば、本当に押さえるべきキモは
ここだと私は思うのです。
この辺りは、改めて書くということで、今日のところは逃げたいと思います(苦笑。
逃げるのかよ!?だって長くなるんだもん(苦笑。
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