四国地域史研究連絡協議会により出された、中世城館研究に関する書籍です。
四国といっても、各県で室町期の状況が全く違うので、面白く読ませてもらいました。
高知だけではなく、四国の歴史もいずれ学びたいものです。
内容は、
第一章 畝状竪堀群を持つ四国の城
第二章 本吉合戦再考
第三章 勝瑞城館の構造とその変遷
第四章 芸予諸島の「海城」と合戦
終章 四国の中世城館研究の展望
の5章からなる100ページほどの書籍です。
一番読みたかったのが畝状竪堀群に関する章でした。畝状竪堀群の二つの類型、分布について高知県を中心に書かれています。
ちなみに四国では畝状竪堀群、連続竪堀群がある城が一番多いのは高知県であり、また伊予、讃岐、阿波は長宗我部氏に関連した城だそうです。
畝状竪堀を持つ城が近くにある幸せを噛みしめました。
第二章 本吉合戦再考は、文献から本吉城の場所を明らかにするというものでした。
個人の嗜好ですが、考古は好きだが、文献は苦手なので、読むのに苦労しました。
古文書に読み下し文がないため、素人の自分にはかなり厳しいです。。。
第三章 勝瑞城館の構造とその変遷
発掘調査から勝瑞城館の範囲や構造のうつりかわりを明らかにしていくものでした。
歴史的背景と構造のうつりかわりを結びつけて考察している点が大変面白かったです。
しかし阿波の歴史は難しいな。
第四章 芸予諸島の「海城」と合戦
島全体を城郭化した、芸予諸島特徴的な海城について、その役割を先行研究から論じてます。
2000年代以降の研究では、海城は防御機能は高くなく、むしろ日常的な経済活動拠点との見方になっているそう。
実際、合戦が行われた日の潮汐を導いて、検討しているのは食い入るように読んでしまいました。
終章 四国の中世城館研究の展望
これまでの研究と、今後の目指すべき方向をまとめています。