「卵」という映画を観ました。


(原題:Yumurta)
トルコ・ギリシャ合作映画
97分

トルコ映画界を代表するセミフ・カプランオール監督による2007年の作品です。



主人公はインスタンブールで古本屋を営む詩人のユフス。

故郷から母の訃報を知らされ、数年ぶりに家へ戻ったユフスは、彼が家を離れていた間に母の世話をしていたアイラという若い親類に出会う。

そこでユフスはアイラに母からの遺言として「羊を生贄にすると誓っていた。」と聞き...。



物語を装飾する音楽が一切ない、ただただ淡々と流れて行く映画です。
台詞も必要最小限。
でもそれゆえ詩的で、想像力を掻き立てられます。

何度も見返したくなるところが、するめタイプ。
(噛めば噛む程じんわりと。)



キーワードのように心に残ります。

見つからなかった卵と、見つかった卵。

卵が、手から落ちた夢。
落ちた井戸から這い上がろうともがく夢。

母が生贄に願かけた思い。



トルコの田舎の見慣れぬ風景が新鮮で、家の中も素敵に見えます。特に壁の色がお洒落。

又、なかなか見る事のできない葬儀や婚礼、生贄を捧げるシーンなどにより異国に生きる人々の様子を伺い知るのも興味深かったです。

全体を通して、華美なところはひとつも無いのですが。


ちなみに、チャイの頻出には驚きでした。
みんな二言目には「チャイ飲むか」DIMG0058.gif