病気のことを周囲に隠す?隠さない?
脳腫瘍のような大病の場合が、難しい話で、患者の年齢、立場、性格、色々な事情があり、どちらがよいとも言えません。

息子が病気になった時、私も正直、すごく躊躇しました。
病気であることが職場やチーム(息子はアスリートなので)に知られて、治って復帰した時に不利にならないか?とか患者の親だと考えてしまったりします。
 幼いお子さんが脳腫瘍などの病気である場合、学校でいじめられたりしないかとかの学校生活や、進学や就職や結婚への影響などなど考えるでしょうし、なるだけ知られたくないとか色々考える気持ちも私にはすごくよくわかります。
なので小心ものの私は息子に「少し周囲には病気のことは黙って治療しない?」と聞いたことがあります。
その時の息子の回答は、「どうせ、いつかはばれるのに、なんで黙ってなあかんの?」「病気になるのは悪いことなん?悪くないなら俺は正直に言いたい」でした。

・・・その言葉に少し、私ははっとさせられました。
誰だって病気や大病にかかる可能性はいつでもあって、病気にかかることは悪いことではあるわけもありません。
悪いことのように思っていたのは私だけだったのかもしれません。
私が思ってた本音の大半は、息子は割と今まで「立派に育ったね。息子さん」と言われる順調な人生を歩んできただけに、息子が職場やチームで不利になることを怖れたというよりは、それも思ってはいたし実際間違いでもないとも思いますが、それ以上に「私」が、他人から「大丈夫?」とか「可哀そうに」とか自分がいじられるのが嫌という気持ちが強くて小さいだけだったのかもしれないと自分の小ささを恥じました。
既に息子は自分より強く、「悪いことでないなら、堂々としたらよいやん。」と病気と向き合う覚悟ができているのに、自分の小ささを恥じました。
また、息子の言葉に押され、堂々と正直に周囲に話せば、確かに「嫌なこと」を言う人もいるにはいましたが、、幸いにも私と息子の周囲の、職場の方やチーム、家族、親戚、友人知人も、ほとんどの方があたたかく色々と助けてくれて、人のあたたかさも感じ、感謝もできました。

でも、「人の不幸は密の味」ではないですが、幼い時は隠すことがよい時もあるでしょう。それが正解のケースや時があるかもしれません。
隠さずに馬鹿正直にすることで職場などで不利な目にあうときもあって、場合によっては隠せるなら隠した時がよい時もないとはいえません。
患者本人が隠したいという意思ならそれを尊重しないとなりませんし、今の時代、個人情報は絶対に守られる時代です。守りとおしてもよいかもしれません。
でも、少なくとも、親や周囲が「病気になることは悪いこと。恥ずかしいこと。可哀そうなこと」では、患者本人の気持ちまでそのような考えが影響するかもしれません。

「病気の本当のことや平均予後や、こうした周囲に隠す隠さないはどうするべきなのかな?幼い時は黙ってた方がよいのかな?」と息子に聞いた時の回答は
「幼いからといって完全に隠しては欲しくないが、中二までは伝えるなら柔らかく伝えてほしいかな。でも中二より上になったらネットもあるんだし流石にわかるし、親が隠せば逆に自分が悪いような気持ちになり逆にしんどいで」でした。

難しい問題です。
人それぞれや病気の状況や病気との闘い方とかで一概に正解などないテーマです。

脳腫瘍患者の漫画家のサシダさんの話や、山崎福也選手の動画コメントや実体験のパネルディスカッションを聞いて、自分たちやご家族の戦い方を考えたり、脳腫瘍患者のご支援などを考える機会として「脳腫瘍トークライブ」、患者さんやご家族、一般の人、何か患者のためにしてみようとそろそろ思われているご遺族にも聞いてほしいなと思います。会場参加は人数限界ありますが、オンライン参加が可能です。オンラインの場合に名前を伏すこともできるかと思います。