2月20日、米国 Servier社は、FDA(アメリカ食品医薬品局 Food and Drug Administration)にVorasidenibに関する新薬承認申請(NDA; New Drug Application)を提出し、受理されたとの発表がありました。EMA(欧州医薬品庁 European Medicinep Agency)には販売承認申請(MAA; Marketing Authorization Application)を同様に提出しているようです。
 FDAは、優先審査(Grants Priority Review)として受理をしたと公表しています。
優先審査は重篤な疾患の治療や予防で、安全性や有効性の改善を示す可能性がある薬剤やワクチンなどに対する審査で、一般審査とは相違する速度での審査となり6ヶ月後が、PDUFA(Prescription Drugs User Fee Act)、審査終了目標日となります。
通常審査は10ヶ月後が目標です。
つまり、今年の8月20日が承認期限となり、今夏くらいに承認見込みの確度も、かなりあがったと、考えてよいと思います。

同様に秋にEMAの承認が見込まれています。
もちろん、まだ承認確定ではなく、PDUFAが延期されることもありますし、臨床試験中のためにそこで重篤な副作用などが発生した場合や治験データに科学的な不正がある場合は承認されないケースもありますが、期待して待ちたいと思います。

このVorasidenibの特徴は、アバスチンなどと同様の分子標的薬である点です。
G2、G3であると診断がつく、比較的低悪性のグリオーマは、IDHという遺伝子に変異が見られます。
この薬は、その

IDHという遺伝子の変異を狙って阻害することで、再発や腫瘍の進行を今まで以上に遅らすことができるという薬です。
海外の各種信用おけるサイトでも、G2、G3のグリオーマについては、この薬で再発や進行をかなり遅らすことができるため、摘出術や放射線治療などを実施後に、治療のファーストライン(第一選択)の薬剤になりうると期待されてます。
その理由は、素人目に見ても、この薬の国際第Ⅲ相治験は、現在悪性グリオーマにおいて化学療法で主流で使われるテモゾロミド(テモダール)やアバスチンなどが薬事承認された際の臨床試験結果、規模や効果と比較してもかなり大規模な検証も実施されてますし、効果も良好で期待できるような結果であったからだと思います。

従来の抗がん剤であるテモゾロミド(テモダール)などのアルキル化剤は、グリオーマのように増殖する細胞を攻撃する薬のために、例えば髪や爪といった増殖する人間の細胞についても攻撃するために脱毛などの副作用が発生します。
一方Vorasidenibは、IDH変異を狙って、その変異を阻害することを標的にするので比較的副作用が少ないことが特徴です。

ただ、デメリットもあります。分子標的薬は高額になりがちです。
また、薬には副作用はつきもので、従来にない副作用もあるかもしれませんし、新薬には標準治療ほどの実績もないわけで当然のリスクもあります。
この薬の治験結果のデータは信頼に値しないと言っている研究者も存在します。

また、今患者さんがなされている、現在の標準的な治療が悪いわけでもなく、新しい薬が承認されたとしても、個人個人合うかは千差万別であると考えてください。
信頼する主治医とよく相談しつつ、この薬が承認になったからといって、すぐに処方されるべきものかは現在の治療状況や状態により相違しますし、期待して待つしかありません。

脳外科の先生から「まだ、ずっと先の話で、日本の臨床試験結果も必要だから、わからない。分子標的薬が効くとは思えない。」と言われたという患者さんもいるのも存知あげています。
素人の私からしたらその先生が間違っているなど否定もできませんし、その先生の言うことが正しいのかもしれません。

欧米で承認されたからといって、日本の承認は、分子標的薬は遺伝子に関わる薬ですし、薬の作用、副作用に遺伝子による人種差もあるのは判明してますし、更に、日本での審査がいるので、日本で飲めるようになるのはすぐにはいかないかもしれません。
だから、できるだけ、私は早く承認され、日本でもよい薬の評価がなされ、一日でも早く必要と主治医も患者さんも判断される方に、早く届けて欲しいと願います。

でも、私見ですが、日本にはもっと迅速に承認して欲しいとは強く考えています。
厚生労働省の方も頑張ってFDA承認がなされた薬剤に関する第Ⅰ相試験の省略など簡素化は図ってくれていますが、そこじゃないだろとも思いますし、日本の薬の承認はもっと早期化できるだろうとも、感じてます。
ただ、ここで一個人が、騒いでもどうなるわけでもないですし、色々専門家は努力されているのも事実で承知していますし、そうした話は、アメンバ記事で別途記載したいと思います。
(日本が薬剤承認が遅く、希少癌や難病でドラック・ラグやロスなどの問題がある原因は、日本人の医療に対する自己責任や選択の薄さが根底だとも思います。
それを変えない限り、世界一の薬害大国からは脱出できないので審査は厳しくせざるをえないこともわかります。
人種差については、米国のアジア系人種は国民の35%以上なのに遺伝子レベルで日本人だけそんなに大きく相違するのか?とも感じます。PMDA(医薬品医療機構)と厚生労働省と二重構造の審査となっている審査や制度の煩雑さ、安心安全の割に世界一の薬害大国である原因、統計学やデータ分析能力など科学知識や研究への浸透が遅れていて古く稚拙すぎる点。などなど、海外承認を全面に肯定はしませんが、言いたいモヤモヤは話せばキリがありません。)

日本は、法治国家でルールもある国で、多くの国民は安心した生活も送れているのは事実です。
ただ、海外の製薬会社が日本に嫌気を感じ、日本市場を後回しにするのではなく、なんとか、この薬が早く承認され、日本で必要とされる患者さんには早く届けられるようにして欲しいと願うばかりです。

尚、前のブログ記事と少し矛盾するところあるかもですが、やはり病気は治って、闘病している方に笑顔を!と強く願っていることは昔から変わってません。

まずは、進展しましたよのご報告です。
薬剤の詳細は、過去ブログご参照ください。