患者会(JBTA脳腫瘍ネットワーク)様の方で、IDH変異型びまん性神経膠腫の患者および介護者に関する調査が実施されているようです。

JBTAの会員の方が調査対象のようです。

リンクフリーかどうかも不明ですので、

ホームページをご検索、ご参照ください。

このアンケートの詳細や、どのような主旨で実施されるのかは、私にはわかりません。

JBTAの役員の方に入会して詳細を聞いていただければと思います。

事前アンケートとオンラインでの調査のようです。


現在、日本脳腫瘍学会で公表されている成人脳腫瘍の診療ガイドラインは、2019年に定められた成人脳腫瘍編(改訂版)となります。

このガイドラインは、膠芽腫(GBM)と転移性脳腫瘍と、中枢神経系悪性リンパ腫の記載しかなく、診療のガイドライン、つまりは標準治療の指針になる治療については、その他の脳腫瘍については存在しない状況です。


小児脳腫瘍は、脳が形成される過程で脳腫瘍が発生するためか、非常に多くの悪性や良性の腫瘍がありますが、成人の場合は、髄膜種や聴神経腫瘍などが多くを占める良性の脳腫瘍と、悪性の神経膠腫(グリオーマ)に大きくは別れ、その比率は半々のようです。

(一方更に希少になりますが、その他多くの病理の成人脳腫瘍が存在します。)


神経膠腫(グリオーマ)は、脳の神経IDH(1 or 2)という遺伝子に変異があるタイプはG2及びG3と言われ、変異がないタイプが膠芽腫(GBM)となります。

脳は、情報伝達や処理を行うニューロンが1,000億個以上あるといわれ、シナプスという樹上突起が複雑に結びつくことで、人間の思考、記憶、体への指示などを実現します。
ニューロンの間には神経膠細胞(グリア細胞)が1兆個以上存在していて、ゼリー状で支えています。
グリア細胞には、星細胞(アストロサイト)や乏突起膠細胞(オリゴデンドロサイト)、小膠細胞(ミクログリア)、脳室の上衣細胞などにわけられますが、それぞれの細胞が突然変異し悪性腫瘍となると、星細胞腫になったり、乏突起膠腫になったり、上衣腫になったりします。
成人は比較的上衣腫は少なく、グリオーマのうち約半分の方が膠芽腫(GBM)で、その他の約半分がIDH1やIDH2に変異のあるIDH変異型びまん性神経膠腫で10万人に7人程度以下の更に半分が発症する病気です。となります。

IDH変異型びまん性神経膠腫の内訳は、半分弱が乏突起膠腫、半分強は星細胞腫です。

乏突起膠腫は海外ではG2とG3の区分けはあまりしなくなってきていますが、星細胞腫はG2とG3に分別されており星細胞腫は悪性化して膠芽腫或いはG4星細胞腫になることもあると言われてます。


診療ガイドラインがないということは、標準治療が存在しないというわけでもないですが、各病院が治療経験や症例に基づき、膠芽腫治療の診療ガイドラインなどを参考にしながら手術、低量照射の放射線治療、化学治療を患者の症状や状態でっ集学的に治療されています。

ただ、最近、私がこのブログや患者会様などでやりとりをして、知りうる限り、G1含めたG2G3のグリオーマの患者様は、手術をせずに経過観察、手術のみして経過観察、手術後放射線治療のみ実施、手術後化学治療のみ、手術後放射線治療及び化学療法を実施されている方など様々で、これは腫瘍の大きさ、できた箇所、切除範囲、或いは観察しての拡大スピードにもよるでしょうが様々です。


全般的には化学治療をされているケースが多く、抗がん剤は、ICE療法やPAV療法のレジメンであったり、テモダール(テモゾロミド)、悪化の場合はアバスチンなどもありますがこれも病院や、先生によって相違しています。


このため、私には、結構、G2やG3の患者さんからの相談もあるのですが、正直のところ私は医師でも医療従事者でもないので、薬剤の機序などはネット(確実なサイト)で理解できるのでお伝えできますが、どれがよいとか、どれが効くは患者さんにより様々でしょうし、「主治医の先生とよくお話しをして確認とってください」程度しか言えません。

話戻しますが、日本脳腫瘍学会で公表されている小児の脳腫瘍の診療ガイドラインには、上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA) 改訂版、中枢神経原発胚細胞腫瘍、びまん性橋膠腫(DIPG)、視神経視床下部神経膠腫(OPHG)、小児・AYA世代上衣腫、髄芽腫などには、それぞれあり、内容もかなり深く診療フローも「標準」がわかるように、それぞれ記載されてます。

一方、成人悪性脳腫瘍の半分を占めるIDH変異型びまん性神経膠腫の患者さん(G2、G3グリオーマが対象)の診療ガイドラインは、一昨年くらいから、工事中のままです。


この理由は、【勝手な私の推測】ですが、「IDH変異の患者=IDH変異型びまん性神経膠腫の患者さん」 の治療については、海外ではIDH変異疎外薬という分子標的薬が有効であることが去年の春先に発表されていたり、国内製薬でも同様の薬が治験されていたり、或いは「従来よりの拡大切除、目に見える範囲のみでなく少し拡大して切除することが有効かもしれないなど」少し、今後の治療が流動的であるからかもしれません。

或いは、低悪性であるがために他の腫瘍が優先されているからかもしれませんが、切除の基準や投薬基準がガイドラインがある脳腫瘍に比べると、患者にとり少し曖昧です。

(不安になる必要は一切ありません。それぞれどちらの病院でも過去の症例に基づき治療されているはずですし、その治療方針が、あまりに信じれないならよく主治医に理由を聞いて、他の先生の意見を参考にしたいならセカンドオピニオンを有料ですが実施されて選択するしかありません)

治療方法が決定的な治療がない以上は、複数パターンあってもなんら不思議もないですし、治療方法が一つに決まらなくてよいと思いますが、ガイドラインを作ろうにもそもそもの患者数が10万人に7名の半分程度なので、日本の人口から考えれば数千人程度は常にいてよいはずですが、手術での摘出範囲やできた箇所や、個体レベルでの進行速度など、治療方法が相違して、それが、全国の病院に散らばっているとしたら、なかなかに全患者さんがそれを見て、自分の治療がどうであろうかと考えれるレベル、医師が治療の標準にするにはデータも少ないためにガイドラインが作りにくいのかなとも思います。

なので、そうしたデータを集め医療界にご提示していく(JBTAの役員様に聞かないとそのためかどうかは不明ですが)ためにも、該当の患者さんは患者会会員の方なら回答ご協力はいただきたい調査ではないかなと思います。


もし、会員でない該当の患者さんやご家族は、この機会に入会いただき情報のご提供をしつつ、正しい情報を今後手に入れるきっかけにして欲しいと願います。
G1含めたG2G3の患者様やご家族は、寛解したり治ると自分事にならない方も多くいらっしゃるとは、思いますが、再発やいろいろなことも考えて、同様にご協力いただき備えてほしいとも思います。


多くの患者さんが救われることを祈ってのお願いでございます。