他人ごとではない話です。
関西在住なので、こちらの病院はよく知ってはいて、医療側の肩を持つわけでもないのですが、コロナの時期は発熱外来が駐車場に早々に設置され、多くのコロナ患者さんが列をなしているのを何回か見た経験もあります。
説明記録がない等の話がその時期でなかったらよいなとも少し思いました。
実際どのような経緯なのかどのような話なのかはニュース記事から想定もできないので、ご遺族にとっては許せないゆゆしい話かもしれませんし、一方でこの病院やこのニュースについては、今の時点ではなんとも言えないのですが。。。

コロナの時期は、マスコミでも報道されてたとおり、どの病院もばたついており、当時は呼吸器扱えるスタッフや医師、重傷者を看護できる看護師も不足していて、脳外科のスタッフも担ぎ出されていました。
私の息子もコロナのパンデミックが始まった頃の入院、手術でしたので、違う病院ではありますが、手術時期は延期につぐ延期でしたし、医師とのコンタクトも非常にとりにくく、実際私自身も放置感満載で「大丈夫なのか!」といらつきかけた時もありました。
ただ、医療従事者である家内に「忙しくない先生にあなたは託したいのか?ましてやこんなばたついている時よ」と諫められて、じっと医療スタッフの頑張りを眺めて心おちつけて、病院とこじれることは幸いにありませんでした。

でも、ニュース記事を見る限りではありますが、仮にコロナの時期であっても、手術後に死亡にもつながったようなケースで説明記録がないケースが3件もあるというのは、なんでそれがわかったか、それがどのような経緯であったかは別にしても、病院側の手落ちであることはその点だけでも責任ないとは証明できないでしょうし、残念なことであると思います。

「医療事故」とは、医療行為に関連して患者の身体に予想に反した悪しき結果(「有害事象」といいます)が発生することをいい、簡単に言えば、医療に関わる場所で、医療の全過程において発生する人身事故全般を指します。
手術前にリスクをよく患者に説明した上で、説明済のリスク想定内であったり、避けられなかった事故の場合は、医療従事者の過失の有無が問われないケースも多くあります。
このため、リスク説明は手術前や投薬治療前に、どんな病院も実施していると思います。
ましてや、死亡や後遺症につながった場合はより丁寧な説明がご家族に必要ですし、なぜ、その結果を残してないのだろうと感じざるをえません。そもそも説明がなかったら論外ですが。

一方で、「医療過誤」は、医療事故のうち医療従事者が医療を行う際に、避けることができたはずの人為的ミスによる医療事故です。
「やむなくしておきた医療事故」ではないすべての「医療事故」が「医療過誤」となります。
仮にこの場合であっても、病院や医師は逃げずに丁寧な説明が必要ですし、死亡や後遺症が結果的に発生したなら、医療側は、事実を、きちんと説明しておく義務があります。
実際、医師はおそらくは、医療過誤や医療事故時の補填を行う医師の保険に入っているでしょうし、変な病院のメンツでもない限りは、車でも事故を発生させた時同様にきちんと、その場合の責任をとることも可能なようにも感じます。
こうした場合において、説明がないとした場合や、その説明が丁寧でなかった場合には、患者やご家族に、被害者側に大きな不信感が残り、医療裁判などにつながり、こじれるだけに思います。
医療過誤には、医療機関の設備やオペレーションに不備があったことやシステムエラーなども含まれます。
殺意、悪意、故意があった場合は、刑事裁判となりますが、そうでない場合であっても、業務上過失致死に近いものでもあるので、医療側は、十分なお詫びと、賠償を患者や遺族側に行う必要があるとされています。

掲載のケースでは、実際どのような事故であったかはわかりませんし、医療過誤かどうかもわかりません。
ただ、説明記録がないということが発覚していること自体が問題で、コロナの時頑張っていただいてた病院ですし、そうしたことには感謝する一方、これはいかにお忙しいとはいえ、説明責任という観点では医療側に問題があると言わざるをえません。

例えば、どんなケースが脳の手術において医療裁判になりがちかを実際過去の医療裁判結果などを調べてみますと、感染症による再手術などで後遺症発生や死亡などがおきた場合などの訴訟が数件あります。
脳神経外科の手術による感染の頻度は、現在、0.8~6%(平均4%)と言われています。
術時に感染率を高める要因としては、年齢・組織挫滅度・創の虚血の程度・手術時間の長さ・シャントなど異物を留置する手術などが要因に挙げられます。

感染症については、抗生物質などの使いすぎで耐性菌を発生させないように抗菌薬の使用は少なくなっています。
でも、抗菌薬を全く使用しないわけにもいかなく、手術中に1回と翌日2回の抗菌薬の使用で、手術後感染症の頻度は低くはなってきています。
空気上や肌に付着した菌全ての滅菌は不可能ですし、例えば緊急手術が続いた場合や病気の進行で免疫が落ちている患者さんの場合は、抗菌薬を使わなければ感染しますし、使いすぎても耐性菌ができているので、避けられない感染症もあるようです。
原因はわかりませんが、3年以上、この脳腫瘍関連のブログなどを記載するようになり、他の脳腫瘍の患者さんやご家族などのブログを拝見していると、有名病院であってもなくても、シャントを入れようが入れまいがなども関係なく、手術後に感染症?と思われるような再手術をしているのでは?と思っていまうようなブログ記事なども何度か拝見したこともありますし、このようなケースは実際発生していることも実感しています。

著名な脳外科の先生の論文の一つに脳外科手術において感染症は決して発生させてはいけないし、きちんと滅菌実施したら発生しないという論文もあるにはありますが、抗菌薬の使い方は患者の状態にもよるでしょうし、こうしたケースを根拠なしに医療過誤とするには非常に難しいことのようにも思います。
素人である患者側が、抗菌薬の使用が不適切であったとか手術室の滅菌に一部ミスがあったなどは、公開手術でじっとオペを一部始終見てて、音声など聞いてないと把握しえません。
見てても多分素人にはわからないかもしれません。
なので、脳の開頭手術で、再発とかではなく1ヶ月も術後経過してない期間で、感染症やそれが影響しての水頭症、髄膜炎などの手術が必要となった場合、患者側で、医療ミスによる医療過誤なのか、避けることのできない医療事故であったのかの判断は困難なはずです。

でも、このような術後感染症による再手術に対して、医療過誤や訴訟判例は、調べると意外にあります。
おそらくは、きっかけは同じような疑わしいケースが同一の病院であったり、説明不足などでこじれ、カルテの開示記録などで判明する場合に訴訟になるのかと推測します。
カルテの記載内容を医療に詳しい弁護師が見て、説明不足や滅菌の不十分さなどの人為エラーが証明できた場合もあって、患者側が賠償請求できているケースも何件が実際にあります。

でも、個人的には、私はだからといって、もしそのようなケースがあったとしても、普段息子がお世話になっている先生や病院を訴えるかどうかはわかりません。
多分、考えれば、その時の医師や先生の説明の仕方なんだろうなと思います。

甘いかもしれませんが、普段お世話になり、一生懸命たすけようとしていただいている信頼する医療側の人でも、避けれない事故もあれば、あってはいけない人為的ミスですらあって普通だろうと私は思うからです。
医療過誤が悪意、故意なら別の話となりますが、自分がそんなに完璧人間でもないから、そう感じるのかもしれません。
でも、どんなに運伝が上手なドラーバーでも、渋滞の中車が飛び込んできたり、前方でいきなり飛び出しがあれば、人為的なミスを発生させてしまうドラーバーは普通にいるでしょうし、医療も例外であるわけないと思います。

ただ、どうしてそうなったかは、納得いくようにきちんと、丁寧な説明はきちんとして欲しく思います。
おそらく、こうしたケースで医療裁判が発生したり、事件になるのは、きっとそうした説明がない、或いはされたけどそのときはよくわからなかったなど、お互いの感情がこじれたときではないかなと感じます。
特に、医療側は「どうせ医療わからない人に丁寧に説明してもわからんだろう、無理だろう」という態度や上から目線での説明は、やはり、して欲しくありません。

何回か、このブログで私は、治療方法や病院が信じれない場合は、病院探しはしてよいしセカンドオピニオンは患者の権利ですとも記載してますが、セカンドオピニンオンをしてみて、治療方法を比較した上で例えば、気に入らない治療をしているのであれば、まずは、なぜ他では違う選択をするのか?現在の治療選択事由はよく患者側が主治医によく聞いた上で、その上で、病院選択や治療選択をするのはあってよいことと思いますが、論拠なく噂や人の評判のみで、治療や手術スキル懐疑的になったりするのではなく、転院などのリスクも冷静に判断した上で、納得できる医療機関でコミニュケーションをきちんと医療側と作ることが大事なように思います。

医療過誤においては裁判所が適切に判断するのが日本という法治国家であると信じてますし、変に医療側の肩をもつわけでもありません。
もし手落ちがあるなら医療側はきちんと責任をとる必要もあるでしょうが、患者側も医療側を常に疑って見るのではなく、
医療や病院選択は権利ですが、まずは信頼してよいコミニュケーションを患者側も作るようにして、しっかり話を聞いて、お互い人間であることを忘れずに、リスクなく皆が納得いく治療をうけてもらえるように願います。