信じてなかったよ
奇跡なんてね
君の声を聞いたときは狂ったのだと思った。
君を見たときは可笑しくなっちゃったんだと思った。
笑っている君を見たときは
涙が溢れた。
「バーカ、何泣いてんだよ」
返ってくることのない返事。
この部屋には自分一人。はて、いつ親が入ってきた?
いや待て、泣いている自分など見せられない・・・。
「いつ入ってきたのよ、ノックしてってこの前も言ったでしょ」
顔を見られないように声が聞こえた方に背を向けながら言った。
「お前の部屋入るの初めてだしなァ」
・・・。・・・。・・・。
「誰アンタ」
「恋人の顔忘れるとはいい度胸だな」
変な発言ばかりするため振り向いてみたものの・・・。
そこにはいるはずのない人物の顔が写る。ついに自分壊れてしまったのかと酷く痛感した。
頭をかかえていると
後ろから抱きしめられた。
「ちょ!?琉牙!何考えてっ・・・」
「やっと・・・名前呼んでくれた・・・っ」
顔は見えないものの、声が微かに震えているのがわかった。
今にも泣いてしまいそうな、細い声。
こんな声初めてだ。
「りゅ・・・ぅ・・・・・が?」
「何」
「ホントに、琉牙?」
「あァ」
「・・・・・・っ・・な、んで・・」
「俺にもわかんねェ、でも死んだことは確かだ
認めた奴にしか、俺の姿は見えねェし、触れねェ
それと・・・一週間だけコッチにいられんだ、それだけは何か知んねェけどわかる」
その言葉はもう聞こえてはいなかった。
ただ
大好きな
大好きな
会いたかった彼がいる
私に向けていたいつもの笑顔がある
今、自分を抱きしめている
彼の暖かさがココにある
無意識に涙を流して
後ろを向いて
抱きしめた
絞め殺してしまいそうな力で
もう離さないと
「おかえり、琉牙」
止まる気配を見せない涙を流しながら
彼の胸板に顔を押し付けながら
精一杯の声を出して、そう言った。
END