こんにちは、とーるです。

今日は朝からやえやまカスタム・M586マッチ仕様のオーバーホールをしました。

およそ半年ぶりのオーバーホール。競技に継ぐ競技で各所動きの渋さが目立ってきましたので細部まで汚れを拭き取ってグリスを塗り直しました。

やはりトリガーのキレが良くなります。こんなに軽くなるのかと驚いております。ハードに使ううえで日々のメンテナンスは重要ですね。


【もう少し初速を上げたい】
さて、今回はオーバーホールの機会に1つ改良を施して見る事にしました。

マッチ仕様の欠点といえば初速が48~52m/s(0.2gBB弾)とかなりの低初速である事です。60m/sとは言わずせめて55m/sくらいの初速が確保できればもっとシューティングでの信頼性が上がるのになあと常日頃思っていました。

特にジャパンスティールチャレンジ(JSC)なんかはターゲットまで距離があるのであからさまに着弾音が遅く聞こえてきて不利です。


【ガスルートの改良】
やえやまカスタムで低初速を克服したモデルとしてはM586サバゲー仕様があります。

これは、耐圧ホースを放出口に貫通させる事で気密取りと耐久性アップを実現した改修型ガスルートであり、東京マルイの先込めカートでも初速60m/sを確保する事が可能です。

しかし、この改修型ガスルートの大きな欠点としてトリガーフィーリングが若干渋くなってしまうという事があります。そのため画期的なガスルートながら連射性能を重視するスピードシューティングにはちょっと使いたくはありません。

もっとも、市販のリボルバーに比べたらまだぜんぜん圧倒的に軽いので、絶対使えないとは言いませんけれどもマッチ仕様のトリガーフィーリングを1度でも体験してしまったら、少しでも柔らかい方が断然良いと思ってしまいます。

トリガーフィーリングを犠牲にしなければ初速を上げられないのか?今回のカスタムはそれを覆しました。


【そもそもなぜ初速が下がる】
トリガーフィーリングの悪化は頑丈な耐圧ホースの弾力によって放出口の前後運動が阻害されて起きます。マッチ仕様のガスルートはそれを防止するためにパイプをただ放出口にはめ込むだけで構築されています。

結合部分には接着剤等を一切使用していません。それほど初速低下よりもトリガーフィーリングを優先しているのです。

しかし、クラウンモデルのガスリボルバーの性質上トリガーを引くと放出口は前に動いてカートリッジに密着します。その際にどうしても耐圧ホースと放出口の間に僅かな隙間が出来てしまって初速低下の原因となります。

これが長らくマッチ仕様の致命的な欠点でした。しかし確かに弾は速ければ速いほどターゲットへの着弾も早く有利ですが、それはトリガーフィーリングを悪くしてまで上げる物では無いと考えています。

極端な話、初速はBB弾をターゲットに届かせるだけの数値が確保できていれば良いので優先度は低い要素です。しかしやはりガンスミスとしては銃の潜在能力を出し切れていない事に悔しさを感じていました。


【どこまで便利なんだ?】
もうなんか、やえやまカスタムはこれ無しでは作れない銃の印象が強くなっていますが、今回もトラスコの「フッ素樹脂テープ」を使う方法を編み出しました。
単純な話、このようにテープを1周巻きつけてガスルートを延長してしまえば気密取りが出来るのではないだろうか。

サバゲー仕様の改修型ガスルートと原理は同じで、ホースを延長する事でガスを全量カートリッジ側に運べるようにします。


今回の方法は、長いホースを使用して延長するのではなく滑りの良いフッ素樹脂テープを使って延長する事でトリガーフィーリングの維持も狙っているというわけです。

組み込んでいる時から既にこれは良いと確信しました。放出口が以前と全く変わらない力加減で前後に動きます。明らかに期待大です。


【初速計測】
いかがでしょうか!初速は50→54m/sに向上しました。しかもトリガーフィーリングは一切変わりません。なんならオーバーホールのおかげで以前より軽くなってすらいます。

結果としては、元がおよそ48~52m/sだったところを51~55m/sまで向上した事を確認しました。40m/s台が出ることは一切無くなりましたので明らかに性能アップです。

さすがに柔らかいフッ素樹脂テープなので気密は完全ではなくサバゲー仕様の60m/sほどではありません。しかし、マッチ仕様ではこれだけの初速を安定して出せた事はいままでありませんでしたので大きな進歩と言えるでしょう。

リボルバーを弄ったことがある方ならば、たった4m/sの初速向上がどれだけ難しいか分かっていただけるかと思います。しかもやえやまカスタムの素晴らしいトリガーフィーリングを維持する事ができていますからこれ以上無い改良です。


【感謝】
やえやまカスタムにとっていまや欠かせないフッ素樹脂テープですが、この素晴らしい素材を教えて下さったのはブログをお読みになってコメントを下さった方でした。

あれがなければ今のやえやまカスタムは存在しないと言っても過言ではありません。本当に心の底から感謝を申し上げます。

決して自分一人で完成させた銃では無いのだと言うことを忘れてはいけないなと肝に銘じる必要があります。

それにしてもフッ素樹脂テープはどこまで便利なんだと、思わずため息が出ますね…


【おまけ・オーバーホール】
M586のオーバーホールのコツを簡単に解説します。
完全分解してから、ラバープロテクタントというオイルを使ってフレームやパーツを洗浄します。主に古い劣化したグリスを取り除くために使用します。シリコンオイルよりも品質維持に効果があると感じます。
パーツの隅々まで拭けばかなりの汚れがある事を実感できるでしょう。
リボルバーは機械的に噛み合って動作するパーツが多く、少しの摩擦でも不具合を起こしやすいです。そのため洗浄後はしっかりとグリスを塗らなければなりません。

リボルバーのメンテナンスでシリコンオイルを塗布して終わりは絶対NGです。最悪ハンマーが落ちない等の不具合で使い物にならない銃となってしまう恐れがあるでしょう。競技用にピーキーなカスタムをしている場合は尚更です。

使用するグリスはエアガン用の低粘度グリスです。電動ガン用の高粘度グリスは動作が悪くなりますので絶対に使ってはいけません。
やえやまカスタムはこのくらいべったり塗らないとハンマーの動きが渋くなる事があります。ぎりぎりの調整を行っているためデリケートですが、1度しっかりメンテナンスをすれば半年はオーバーホール無しでコンディションを維持する事ができます。
ということで、リボルバーはメンテナンスが本当に重要だということをご理解いただけましたでしょうか。この記事がリボルバーシューターを目指す方々の役に立ってくれれば幸いです。