こんにちは、とーるです。

手持ちのガスリボルバーのスピードシューティング適性を検証するシリーズも今回ついに最後の1挺となりました。

13挺目の今回は「やえやまカスタムM586・マッチカスタム・光学サイト仕様」。

私がシューティングマッチに出場する時にメインで使用する最高品質のカスタムガンです。果たして現状ライブカートリボルバーでトップの「コクサイ・スピードコンプ」に勝てるのでしょうか。

検証は予め決められた項目の数値を、なるべく同じ条件・同じ手順で計測し、全て同じ基準に基づいて自動判定で性能を評価します。それでは結果を御覧下さい。



【トリガープル性能】
ダブルアクションの平均トリガープル1.33kgはガスリボルバーとしては破格の軽さです。通常のガスリボルバーで2~2.5 kgと言ったところですから、市販品で本機種に匹敵するトリガープルはまず存在しないでしょう。

トリガープルの重さは人それぞれに好みがあると思いますが、軽ければ軽いほど速射性能は上がりますので、スピードシューティングにおいてトリガープルの軽さは重視される性能の1つです。


【初速性能】
平均初速は51.79m/s。東京マルイのプラスチックカートリッジを使用しています。18歳以上用のエアソフトガンとしては高い数値ではありませんが、一応やえやまカスタムの中では良い部類です。


【命中精度】
ダブルアクション、シングルアクション共に非常に高い命中精度を示しました。

どちらの射撃方法においても非常に安定した精度を実現しているため、シリンダーの回転や手ブレの影響を最小限に押さえ込む性能を有する事がわかります。


【ダブルアクション】
ダブルアクションのグルーピングは縦2.8×横4.3㎝。初速変化や手ブレの影響を受けやすいダブルアクションの速射にも関わらず5発がAPSのブルズアイ競技のターゲットに命中する性能を示しました。

また、ライブカート式のガスリボルバー特有の フライヤーが1発出ていますが、それでも直径10㎝円内に収まっています。場合によってはフライヤーだと認知できないレベルです。


【シングルアクション】
シングルアクションは更に驚異的な性能を示しました。グルーピングは縦2.9×横2.6㎝。うち4発は殆ど1点に集まっています。フライヤーも10㎝円内に命中しています。

本検証シリーズの肝として命中精度試験はスピードシューティングを想定した速射で行っているという点が挙げられます。

僅か数㎝のグルーピングを計測したこの結果はケースレスリボルバーでじっくり狙った場合の命中精度にも匹敵する高精度です。


【総合評価】
総合評価は【SS-】。命中精度は最高評価の【SSS】、次いでトリガープルが【SS】の高評価。初速が低い事以外は完全に非の打ち所の無い結果となっています。

【順位表】
総合得点は76点。なんとコクサイスピードコンプと並ぶ同順2位の成績でした。ただし総合評価【SS-】はスピードコンプの【S+】よりも一段階高い物となっていますので、実質的には東京マルイの24連発パイソンに次ぐ単独2位のポテンシャルがあるとも言えます。

実はこの差は自動判定の基準による物で、同じ合計点でもアルファベット評価の【S】の数によって±1段階の差が生じます。

総得点は同じ76点なのですが、アルファベット評価のSの数に注目して見ると、今回はトリガープル【SS】、命中精度【SSS】でありSの個数が5個ある事になります。一方、スピードコンプはSが4個でやえやまカスタムより1個少なくなっています。


そのため、Sの個数による特別な処理により同点でも補正がかかっているというわけです。


ちなみに単純にSの数が多ければ必ず良い評価になるわけでも無く、あくまで点数によって最初に決められる評価がベースとなり、そこから補正をかけているという点には注意が必要です。


例えばSの数だけ見ると7位のフリマ仕様の方が6位のマルイパイソンより多いにも関わらず同じ【S+】になる理由は、根本的に合計得点が68点と低いため基本の評価が1つ低い所から始まって、そこからSの数に基づいて補正されているためです。


同じアルファベット評価でも得点の違い、または同じ得点でもアルファベット評価の違いに注目して見ると、自ずと銃の性質、傾向、性能差、スピードシューティングにおける使い勝手等を比較する材料となるのです


この自動評価システムは複雑で細かな条件が設定されていますので、かなり信頼性が高い物と自負しています。



【やえやまの評価】
トリガープル:
特注品の59%スプリングと幾つかの個体から選び抜かれたパーツを使い、更に丹念に擦り合わせを行う事でこの圧倒的な軽さのトリガープルが完成します。

59%スプリングは熟練した職人の手によって材質や寸法、強度等のバランスを考慮して製造されました。

純正スプリングに使われるピアノ線よりも頑丈なステンレス鋼を用いて強度を確保することで、線径を細くして柔らかい物を作っても強度面の理由で寸法を大きく変える必要がありません。

そのため、純正よりも柔らかいスプリングでありながら変形への耐久性は維持され、バルブを叩くストローク等の基本的な性質が変わる心配もありません。トリガースプリング変更に伴う初速等への影響も最小限とする事ができます。

加えてフッ素樹脂テープを用いたフォーシングコーン気密システムにより引っかかりの無いスムーズなトリガーフィーリングを実現。その滑らかさを例えるならば、まるでソフトクリームにスプーンをさすような感覚です。

上記の性質により「やえやまカスタム」特有の効果的な手ブレ抑制が可能となっています。


初速性能:
やえやまカスタムのリボルバーは東京マルイの先込めカートリッジを使用するため初速が純正カートリッジに比べて著しく低下しやすくなっており、概ね50m/sに届くか届かないか程度の初速であることが多くなっています。

カートリッジのリムに押しつけられるガス放出口やシリンダーと接触するフォーシングコーン周りの気密を取り過ぎるとトリガーフィーリングが悪化してしまうことから、初速の向上よりも命中精度や手ブレの抑制を優先しているため仕方なく50m/s程度を1つの目標値として設定しているという経緯もあります。


しかし、その中でもこのマッチカスタムは優秀な個体のパーツを厳選して使用しているため初速が高めに出ており最高で約53m/s、平均初速も50m/sを上回るものとなっています。

命中精度:
ライブカート式リボルバーの性能限界と言っても過言では無い高い命中精度を誇ります。リボルバー特有のシリンダーギャップの影響を減らすバレルの加工はもちろんのこと、バレルの前後運動をオミットした固定バレルとすることで飛躍的な命中精度を得ています。

更に、銃そのものの命中精度に加えて、トリガーフィーリングの改善や板重りでウエイトを追加する重量増等によって手ブレ対策が施されており、命中精度を高めるために様々な対策が施されています。

これにより、コクサイスピードコンプや東京マルイのパイソンガスリボルバーに匹敵、またはそれ以上の命中精度を実現することができています。


【総評】
これまでの研究成果と実戦からのフィードバックにより最高品質の競技用リボルバーとなっています。

初速性能以外の項目は全て他を圧倒する結果であり、ケースレスのガスリボルバーに迫る高性能です。

欠点だった本体重量が軽すぎて手ブレの影響を受けやすい事もグリップウエイトの追加によってほぼ改善されています。懸念点としては、将来的に本体フレームが破損して別個体のフレームに基幹部品を移植するとなった場合に、そのままの性能が維持できるかという点です。

少しでも長持ちさせられるように大切に使って行きたいと思います。

【最後に】
総数13挺のリボルバー。今回で全ての検証が終わりました。

ケースレスリボルバーである東京マルイの24連パイソンを除けば「やえやまカスタム・マッチカスタム」と「コクサイ・スピードコンプ」の2挺が手持ちの中では最も優秀なライブカート式の競技用リボルバーであると結論付けられました。

2挺の命中精度試験の結果を比べて見ました。
ダブルアクションの結果を比べて見ると、グルーピング範囲がちょうど縦横を逆にしたような感じで非常に良い勝負です。

スピードコンプは横軸のブレが無く縦に散りやすく、やえやまカスタムは横に散りやすく縦軸はブレが少ないです。
上の画像はシングルアクションの結果です。面白い事に着弾位置の類似性が非常に高くなっています。以前から私が銃を速射で撃つとこのような傾向を示すことはわかっていましたので、自分自身の癖のようなものがあると思っていましたが、その事がここまで完璧に試験結果として現れたのは初めての事です。

以上の事から、両者は射撃時の癖など外的要因が直接観測されるほど完成度が高い銃である事がわかります。ダブルアクションの傾向が違うのは初速の安定性やトリガープルの性質が違う事が関係していると考えられます。

シングルアクションとダブルアクションそれぞれの結果を総合すると、両者の基本性能は殆ど拮抗するほど高いレベルにあると思われます。ここまで来ると、あとは使用者の好みの問題でしょう。
やえやまカスタムの性能を確かめるために始めたこの徹底検証シリーズ。全ての機種の成績をしっかり数値で結果にすることができて安心しています。

「やえやまカスタム」は、クラウンモデルのガスリボルバーで競技に出ることを目標として、数年間の準備期間に加え去年からの1年間で更に大きく性能を上げ飛躍する事ができました。

僅か1年前までは15㎝の円形ターゲットに命中させるのがやっとだった事を考えると、今では僅か5㎝の円にもダブルアクションで簡単に命中する性能があります。

全ての始まりは人生で初めて購入したライブカート式ガスリボルバーのクラウンリボルバー。あの時壊れた1挺のクラウンM19ガスリボルバーでした。

 「いつか自分しか持っていないリボルバーを使って競技に参加して皆を驚かせる」その一心から始まりました。そしてその夢はまだ半ばです。

これからも進歩し続ける「やえやまカスタム」

この検証シリーズを楽しみに読んで下さった全ての方々に御礼申し上げます。

八重山徹


【結果まとめ】