こんにちは、とーるです。今回は半分ルール解説となっています。


【クラウンモデルM19箱出し】

ガスリボルバーの競技適正を計測する比較対決シリーズ。記念すべき最初の機種は「クラウンM19・箱出し」です。

約一万円という非常に安価な機種ですが、意外にも値段の割に質が高いエアソフトガンです。
さて、当対決シリーズは全て外部ソースで数値の計測を行うため、注入バルブを取り外して代わりにホースコネクターを接続してあります。

今回のM19は、この外部ソース以外は完全な箱出しの状態です。

【計測と結果の表示について】
Excelを用いた結果表示はレイアウトを変更したことで以前より洗練され見やすくなりました。
※機種名がM586になってますが後で修正済み

トップバッターである今回のクラウンM19の結果は次回以降の基準となります。

※以降の内容はあくまで「シューティング競技で真面目に使用することを考えたらどうなる?」を独自の基準に基づいて評価する事を目的としており、決してエアソフトガンそのものの絶対的な価値を評価するものでは無いことを何卒ご了承下さい。また、特定のエアソフトガンを批判するための記事では無いことも合わせてご理解下さい。

【測定機器】
トリガープルと初速は専用の物を使い、正確に計測します。
命中精度はいつものTHEお座敷ターゲットペーパーです。
使用する外部ソースはサンプロジェクトのミニレギュレーター2です。コネクターまでのラインには圧力計や減圧バルブを使用しております。
特に減圧バルブの組み込みは国内トップクラスのシューティング競技「ジャパンスティールチャレンジ」の規程に則した仕様です。

万が一の不意な元圧上昇に関係無く、常に安定した圧力を供給する事ができます。
圧力計にて約0.5MPaとなっています。圧力が統一されているため、今回以降の違う機種においても初速が正確に比較できるようになります。

【トリガープル計測】
トリガープルは測定機器のアームをトリガーに引っかけて、引っ張る事で測定できます。
ハンマーが落ちると数値は固定されます。その時に計測された重さがトリガープルとなります。合計三回測ります。

【初速計測】
弾速計を用いて初速を計測します。BB弾は東京マルイのパーフェクトヒット0.2gを使用。ダブルアクションで三発。

【命中精度・準備】
命中精度を計測する前に軽く慣らし撃ちを行い、サイトのゼロインも行います。なるべく中央を照準したときにサイト通りの着弾となるように調整します。

【命中精度計測・ダブルアクション】
命中精度は5メートルの距離から、まず最初にダブルアクションで6発。

※全ての計測において立射両手保持。1発あたり約3秒以内でなるべく素早く撃ちます。スピードシューティング競技への適正を評価することを目的として銃そのものの命中精度よりも速射安定性を評価するために行っています。

ここでちょっと感想ですが、クラウンM19のトリガープルはなかなか軽快でよくあるライブカートリッジモデル特有のシリンダーの回転が素早すぎる+ガチガチと急に止まる感触はありません。ヌルっと動き静かにカチリとロックされる本格的な感じです。

ターゲットを一発も外さずに撃つことができました。近距離とは言え、これは意外な事になかなか良いのでは無いでしょうか?
着弾点をマーキングし、中央から最も遠い着弾を×印で区別して省きます。

【グルーピング範囲の計測】
 垂直・水平、それぞれ最も遠い部分の幅を測定します。
距離5メートルとは言えやはり潜在的な性能はガスリボルバーとしては良い部類です。
グルーピング範囲を計測しました。

【シングル・ダブルの結果】
所定の通り、シングルアクション、ダブルアクション両方について命中精度を測りました。シングルアクションは一発だけターゲットを外していますが、6発中5発を用いるため考慮はされません。

【評価・自動判定】
クラウンM19ガスリボルバー箱出しの総合評価は「A」でした。え?そんなに評価高い?と感じるかもしれません。

一見普通に競技に使用できるレベルはあるようですが、内訳を見ると命中精度に関しては「B」と高くは無い評価であり、ぎりぎり実用レベル にあるか無いか?と言ったところです。


総合評価は、トリガープルと初速の性能により引っ張られる形で評価が上がった結果です。 今後他の機種と比較するうえで、このような微妙な判定になった時に役立つのが得点です。今回は総合評価「A」、得点は50点です。


同じAでも得点が高ければ評価が上という結論になります。

自動判定の評価コメントにある「競技における充分な総合性能と適正を認める」というのは「シューティングマッチで使用可能、早く撃てるかどうかは度外視で狙えばターゲットにちゃんと当たります」というニュアンスであり、「シューティングマッチで活躍できる事」では無いということを念を押しておきます。

そもそもライブカートリッジ式リボルバーのエアソフトガンが根本的にシューティング競技に向いていない物であり「ダブルアクションでターゲットに当たる性能なら御の字」なレベルのジャンルであるという事実を強調させていただきたいと思います。



【計測値の内訳】
測定結果の内訳はこのようになっています。

【やえやまの評価】
ここから先は、以上の結果を踏まえた上で私個人の評価を述べます。今後このコーナーは、忖度無くスピードシューティング適正を考えた真面目な評価をしていく予定です。

・トリガープル2.3kg→平均的な重さ。クラウンガスリボルバーならではの滑らかな感触がある。これは、ガスリボルバーのライブカートリッジ式モデルによくあるシリンダーが回転して止まる時と撃破時の二段階ひっかかりがあるトリガープルとは違って、決して悪くない感触と言える。しかし、後ろ込めカートリッジ特有のゴム材が擦れる摩擦感が多少あるため、完璧に理想的な回転とは言いがたい。

・初速76m/s→さすがライブカートリッジ式としてはトップクラスの初速性能を誇るクラウン純正後ろ込めカートリッジと言える。

・命中精度→6.5~10センチ程度のグルーピングがあり、シングルダブル共に殆ど変わらない精度であった。このことから、ダブルアクションはかなり高いレベルで精度が出ていると言える。

しかしながら、シングルアクションとダブルアクションで、グルーピングの数値こそ変わらないように見えるが「シングル」では下に着弾、「ダブル」は全体的に散るという現象が起きた。実戦においてはターゲットは1つではなく、連続で向きを変える動きを加えて正確に当てなければならない事を考えると、もう少し命中精度やグルーピング範囲が安定していなければならないと思う。
総評としては、まさに用意しておいた自動判定で作成される評価コメントの通りかもしれませんが、私自身の言葉を用いるとしたら以下の通りです。

【総評】
各所に光る所があり潜在能力は高いと感じます。しかし、やはりこの状態で競技に使用すると考えた時に「確かに使用はできるがまず勝てはしないだろう」とも思いました。

シューティング競技基準で考えると、やはりちょっと性能が物足りない。信頼しきって使えるレベルには無いでしょう。

また、数値に残らない要素として特殊なインサート入りのシリンダーと空薬莢型カートリッジもマイナスポイントです。カートリッジがひっかかりやすく込めにくいので、特にアクションシューティング等のリロードが必須の競技ではとても使い物になりません。
更に、後ろ込めカートリッジであるクラウンリボルバーの持病として、パッキンにオイルを塗布しなければシリンダーの回転精度が大きく悪化し、オイルの乾燥具合に応じてトリガーフィーリングが不安定になったり回転不良が起きやすくなっています。

上記現象によって グルーピング範囲の傾向に微妙なバラツキが出てしまう欠点がかなり気になります。

うまく噛み合って調子が良いときはよく当たるが、ひとたび悪い所で安定してしまうと一向に当たらなくなる。なんて言うのがクラウンモデルを長いこと研究して感じてきた事でした。
とはいえ、この商品の価格帯とカートリッジ機構を考えると、そもそもこの銃は高い初速や飛距離を楽しんだり、お座敷でお手軽にリボルバーモデルガンのように楽しむ銃でしょう。

公式競技サイズのターゲットを外さずに撃てる性能が見いだされた事自体が本当にクラウンモデルさんのリボルバーは凄いなと思います。

私がいままで愛用し、最も信頼するカスタムガンのベースの潜在能力は伊達では無い。まさに私の夢の始まりであり、基盤と言える存在です。

【次回予告】
次回は本格的に性能対決をしていくための機種紹介をしたいと思います。 誰もが認める名門東京マルイ、伝説のコクサイ、そしてやえやまカスタムと、ハイレベルな比較が待っています。

やえやまカスタムにおいては初期製作のプロトタイプも登場予定です。是非お楽しみに!


【結果まとめ】
クラウンモデル
M19箱出し新品(4インチモデル)