「時代に取り残された衝撃メカニズム・ハレットシングルアクション機構」


こんにちは、とーるです。


本日2個目の記事は、マルイNGマッチで使用予定の骨董品ガスガンレビューです。

秘蔵コレクションのMGCウィルソンLEオールシルバーモデル、絶好調の完動品です。

オールシルバーモデルは最初の発売が1986年、私が生まれる何年も前の銃です。

これを手に入れたのは3年ほど?いやもっと前、5年くらい前かも(忘れた)。ヤフオクで不動のジャンク品として出品されていた物を格安で購入。
説明書のパーツリストを元に完全分解を行って清掃、破損箇所の修理を経て見事新品同様の動作性を復活させる事に成功しました。
グリップはプラスチック製と木製の2つが同梱されていました。実際に付けているのは木製グリップです。
「MGC」は今はなき老舗メーカーシリーズ(他にはコクサイなど)の1つです。アルファベットのメーカー名はモデルガン(MG)コーポレーション(C)の略です。
元々がモデルガンメーカーというだけあって、非常に高い質感を持った高級感のある銃です。

固定スライドガスガンのためスライドやスライドストップ等はイミテーションとなっていますが見た目の再現やマガジンを抜いた状態でもズッシリと重たい感触はまるで本物。
特にこのオールシルバーモデルは非常に素晴らしい出来栄えです。
このようなコンペンセイターをとりつけた有名な競技銃には10㎜弾を使用するセンチメーターマスターと呼ばれる物がありますが、これはセンチメーター(10㎜)ではなく、約11.5㎜の45ACP弾を使用する機種が元になっています。
ウィルソンLEの「LE」は、IPSCという実銃競技のトップシューター2名の名前から、リーサムのL、イーノスのE、からイニシャルを取ったものです。
コルトマークⅣ・シリーズ80の刻印があります。シリーズ80と言えば今ではすっかりヴィンテージの扱いですが、MGCがこれを発売した当時はまさに実銃でも最新型だったわけですから、なんだか不思議。今で言うと「グロックの最新型ジェネ5を東京マルイがガスブローバックを発売決定!」というのに近い感覚でしょうか。
もっと色々見せたい物がありますが、とりあえずこの辺にして実射から。
初速は64m/s(0.2グラム弾を使用)。そこまで悪くありませんね。 固定スライドという事で燃費はとても良さそうです。ホップは搭載されておらず軽量弾の使用で初速を上げても弾道が大きく変わる心配はありません。

似たような当時存在した東京マルイの固定スライドガスガンと比較して、マガジン本体にガスタンクを内蔵している事からマガジン交換で性能が復活するため冷えには滅法強いです。
いつもの射撃性能試験を実施しました。
素晴らしい精度です。後述しますが、独特のトリガーフィーリングに慣れないため1発だけ上に外れました。けっこう素早く速射したのですが、ノンホップバレルだけあってよくまとまっていますね。

実はこの機種は、当時のエアガンスピードシューティング競技の専用銃として発売された物ですから、5メートルでこの精度はさすがとしか言いようがありません。

ぜんぜん普通に使えます。真面目な競技ではたぶん使わないと思いますが…
ところで先ほどからハンマーが起きている画像ばかりで危ないと思われた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、無理なんです。
この状態はまさかの仕様で、この銃は撃発時のトリガーを引ききった状態でなければハンマーを落としておくことができないのです。

先ほど私は独特のトリガーフィーリングがあると言いましたが…
この銃の衝撃的にユニークな点は、ハンマーが最初から起きているという点です。

普通の、現代主流の東京マルイソーコム等の固定スライドガスガンはハンマーが落ちているダブルアクションタイプですが、MGCのこれはまさかの「シングルアクション」です。
板バネが押し込む力でダブルアクションハンマーを常時無理やり起こした状態にするという衝撃的なメカニズム「ハレットシングルアクション」機構により、通常のダブルアクション式の固定スライドガスガンに比べてスムースなトリガーフィーリングを実現しているのです。
トリガーを引くとダブルアクションと比べたら比較的引っかかりの少ないシャッキリした感覚と共に、このようにハンマーが落ちて撃発されます。
トリガーを戻すと、ヌルッとした感覚と共に板バネの押し戻す力でハンマーも起きます。

撃発の瞬間に限って言えば確かにシングルアクションなのですが実際のところはダブルアクションの手順を入れ替えた物です。

ハンマーがコックされるタイミングが、トリガーを引く時なのか、戻すときなのかという違いがあります。

これ撃つ瞬間は良いけど、戻る時がなんだか気持ちが悪くて、速射が難しくて決して撃ちやすくは無いですね笑。銀ダンエアガンと似たような感触です。

あーでもよく考えたら私みたいなリボルバーシューターにはこのトリガーフィーリングは比較的違和感無いかも。
当時は現代のような実用的ガスブローバックも存在してなくて、固定スライドガスガンを進化させた結果こうなったのかなと。

当時の競技モデルとしては最高の技術だったのかもしれませんが、ガスブローバック主流の現代ではハンマーが起きた仕様含めて色々な面から通用しないと思います。

やはり時代に取り残された絶滅種と言えましょう。
ガラパゴス化の典型例とも言えるハレットシングルアクション機構、古すぎて逆に新鮮です。
当時はマガジン内部やバレルにオイルを塗布するメンテナンスが推奨されていたようです。ホップの無い銃なので一定の効果が期待できると思います。
時代を感じる説明書です。
ニューMGC自体はまだ現存していますよね。
箱の裏側にターゲットが印刷されていました。箱に穴があきそうです。もったいなくて無理。

私自身そうですが、エアガン付属のターゲットペーパーやBB弾ってなんだかもったいなくて使いたくない派の方いらっしゃるのでは?
クールでカッコいい見た目の箱。
しっかりASGKのシールがあります。リキッドチャージガンの表示もあります。今では当たり前ですが、昔はエアコッキングや外部ソースの方が主流の時代があった事を示していると思います。
日本語少なめクールな仕様ですね。
そういえば、リヤサイトは可動式なのでやはり実用的な部分はしっかり再現されています。まさに競技モデル。

とりあえず現代のエアソフトガンを基準とした全てのツッコミには「そういう銃じゃねーから」で対応可能な骨董品。

マルイNGマッチはこれで決まり笑