こんにちは、とーるです。



クラウンモデルガスリボルバー「やえやまカスタム」のご紹介

第2回の今回は

【リボルバーにおける命中精度の理論】
についてお話します。

なぜエアガンのリボルバーは当たらないと言われるのか。

キーワードは「シリンダーギャップ」です。

(命中精度に関わるカスタムを施さなければ、クラウンモデルガスリボルバーのグルーピングはお世辞にも良いとは言えない)


(クラウンガスリボルバー・やえやまカスタム)

ガスガンは、タンクから放出したガスをBB弾に吹き付ける事で発射を行います。

(銀色の円筒パーツがガスタンク。一般的なガスリボルバーは、①タンクから伸びるチューブをガスが通る、②シリンダー内にセットされたBB弾へ圧力を伝達、③押し出されたBB弾がシリンダーを抜けてバレルに入る、④バレルから射出されたBB弾がターゲットに向かう、という工程を経る)


「ガスガンの命中精度に大きく影響する要員」を2点紹介します

・ガス圧の安定性
・シリンダーギャップ


まずは
・ガス圧の安定性

これは、毎回同じ初速であるほうがホップのかかりや弾道が安定するからです。

※キャッチボールを想像してください、同じ人が投げてもスローボールはふわーっと山なりで相手に届き、ストレートはスッとまっすぐ届きます。 そして、大谷翔平などの一流プレイヤーは、指先や腕、体全体の使い方を絶妙に加減し速度に対して弾道をコントロールすることで一定の場所に投げることができます。大谷翔平の手にかかれば、弾道が違うスローボールもストレートも着弾点が大きく反れる事無く、しっかりとキャッチャーミットに収める事ができるわけです。

しかしながら、エアガンは人間のような思考と調整が一切できないため、ガス圧の変化で起きる初速の変化に対して弾道をコントロールできません。そのため、初速が不安定な機種は、それだけで着弾点が常に変化してしまいます。


この影響は、缶からガスを注入するいわゆるリキッドチャージ式のガスガンにおいてはどうしようもない部分です。撃つたびに気化熱でタンクが冷えるため、連射と共にガス圧は落ちていきます。

ガバメント等のガスブローバックのように、マガジンをあたためる工夫ができれば良いのですが、リボルバーはネジ止めしたグリップ内にガスタンクがあるため容易ではありません…

いちおう、内部機関のこまめな掃除やパーツ点検など、正しく組み込む事で少しは安定性を持たせる事ができます。古いグリスは硬くなっているため、分解メンテナンス時はグリスの除去と塗り直しで、ある程度の効果が得られるでしょう。

ガス放出バルブを叩くノッカーの動作が、多少ですが安定性を得られます。

幸い、クラウンモデルのガスリボルバーは初速の安定性が箱出し状態でもなかなか優秀なので、個人的にはパーツ加工等の手を加える必要は初速に関しては一切無いと考えています。

CO2外部ソースを使用して、冷えの影響を最小限にしてガス圧の安定性を確保する手段も効果的です。スピードシューティング等でよく見られるホース付きの銃ですね。

(外部ソースを使用し常に安定した初速を確保、命中精度を高める事ができる)



・BB弾に対する障害物

BB弾は実銃の金属弾よりも遙かに軽いため、ちょっとした衝撃で簡単に弾道が反れてしまいます。

ピンポン弾と鉄球くらい違うと言えば、それがどれほどのものか想像する事はたやすいでしょう。ピンポン球はちょっとの衝撃でよく跳ねます。

※例えば、バレル内にゴミがあったら、ゴミに当たったBB弾の弾道が不安定になって、命中精度が下がる要因になります。こまめにバレルをクリーニングするのが基本だとよく言われるのはこのためです。



グルーピングが安定せず命中精度が下がる最も大きな要員である障害物の影響を、一つ一つ排除して、命中精度を向上させていくのがカスタムの目的となります。


(リボルバーは、BB弾に対する障害物が標準装備されているのだ…)

エアガンのリボルバーは当たらない。これが多くの人の常識だと思います。

それはなぜか…

先ほどのイラストを見れば一目瞭然 、解説不要かもしれませんが、

答えは「仕様上取り除けない障害物が標準装備されているから」です。


リボルバーは、回転するシリンダーがマガジンの役割を備えるタイプの銃です。


回転するシリンダーとバレルの間は完全には密閉されておらず、ある程度の隙間が存在しています。

ここにBB弾が当たると…あとは絵の通りです。

しかも仕様上必ず起きる事なので、これを完全に無くしたり無視する事は不可能に近いです。

マルシンのXカートリッジだろうとタナカのペガサスだろうと、シリンダーから弾を撃ち出すシステムである以上、シリンダーギャップは必ず通る障害物です。

ガスリボルバーにおいてこれを完全に排除したのは、私が知る限り東京マルイの新型24連発機構だけです。(2023年現在は廃盤商品)

バレル内にBB弾を送り込んでから発射する事により、シリンダーギャップの影響を全く受けない、高い命中精度を誇るリボルバーでした。


話が反れましたが


「命中精度を高めるカスタム」と言うと、なんだか複雑で難しい事を言っているようですが、何のことはない、このシリンダーギャップをいかに抑えるかを考えるのがメインなわけです。

シリンダーギャップの影響をゼロにはできない事を理解して、なるべく影響を小さくする事。

この考え方がやえやまカスタムの基本となります。


意外かもしれませんが、初速を高めるカスタムは私は一切行っておりません。

乱暴な言い方ですが、初速なんてものは想定したターゲットに届く最低限の分だけ確保できれば、命中精度に直接の影響を及ぼす事はありません。

高初速であれば命中精度が上がるという、そんなに単純な話ではなく、常に同じ初速であることの方が遙かに大切です。

もちろん間接的には影響があります。

例えば遠距離を狙いたい場合、またはシリンダーギャップや風の影響を受けにくい重量弾を使おうとした場合です。

弾をより早く、というか根本的に弾をターゲットに届かせるため、最低限のガス圧確保は必要だというだけの話です。


しかし、ガス圧を高めるという事は、その分内部機関に負荷を与え故障の確率を増やす事に繋がる点も忘れてはならないと思います。

放出バルブのスプリングを弱めたりなんかすると、ちょっとの変化に敏感になりますから、初速の安定性が下がる可能性もあります。

私が想定する用途は、サバゲーで15メートル程度の有効射程を確保したり、スピードシューティングの近距離命中精度を確保する事なので、わざわざ調整難易度が高く精度の高いメンテナンスが必要になる高初速化は行っておりません。

複数枚の ターゲットを素早く撃つスピードシューティングでは、金属プレートに当たった音で命中を判断する事があるため初速が高ければ高いほど良いのはそうなのですが …

それよりもまず優先的にやるべき事が、シリンダーギャップの影響を抑える事だと考えています。ターゲットに当たらなければどんなに弾が速くても全く意味が無いからです。


ということで今回は以上となります。


次回以降をお楽しみに。




※解説内容は、必ずしも科学的に検証を行ったものではなく、あくまでもエアガンカスタムを行ってきた経験に基づいた予想です。よって内容の正確性、再現性については一切保証できません。中には間違い等あるかもしれません事、何卒ご了承下さい。