「絶対にやらない」と決めていたブログをやることにしました。



台風吹き荒れる昨夜、横内謙介 脚本・演出の「つか版・忠臣蔵」を観て、
胸にグッと来るものがあり、誰かに伝えたくなったからです。

15年ぶりに衝撃的な舞台に出会えて興奮しました。
こういう日があるから人生やめられないな、としみじみ思います。



全編つかこうへいの舞台へのオマージュになっているのですが、
そこを突き抜けて、とんでもなくオリジナリティ溢れる見事な舞台になっている。

笑って、笑って、最後に泣けて、35年前のつかこうへいの舞台の興奮がそこにはありました。

台詞も音楽も、動き、間合い、流れ、構造、全てがつかこうへいで、
それだけでため息が出るような充足感ですが、それを踏まえた上で、
ここまでのオリジナリティ溢れる作品に仕上げた横内謙介の才能と腕力に脱帽しました。



初めて横内謙介が主宰する扉座の舞台「夜曲—放火魔ツトムの優しい夜—」を観た時も感動したけど、
あれから25年経ってこんな凄い作品に巡り逢えるとは思わなかった。
生きてて良かったとはまさにこのこと。
こういうことがあるから人生は棄てたもんじゃないよね。


主演の山本亨(宝井其角)、岡森諦(近松門左衛門)に大拍手。
冒頭、二人のつか流長台詞の圧倒的な応酬にまず全身が痺れる。
犬飼淳治(大石内蔵助)、有馬自由(大高源吾)もよし。
俺が知らなかっただけなのか?
吉良上野介役の鈴木利典、怪演。介錯人・磯田を演じる松本亮は大収穫。
市川団十郎の新原武も凄いぞ。
女性陣も充実、怒涛のラストまで、観ないと一生の損だよ。


24日まで「墨田パークスタジオ」そのあとは扉座発祥の地、厚木で上演される。


25年前、役者だけでは食えなくて、
俺が編集長だった「月刊カドカワ」でバイトをしていた岡森諦よ、
色気が匂い立ついい役者になったなぁ。
涙が出たよ。
で、今、食えてるのか?
これを読んでくれている各テレビ局のドラマ・プロデューサーの皆さま、
岡森諦をよろしくお願いします。(笑)

山本亨さん、あなたの鬼気迫る大熱演は俺にある決意を促してくれました。
あなたの役者魂、無駄にはさせません。

25年前、放火魔ツトムを演じた六角精児がいなかったのは残念だけど、
素晴らしい夜でした。



台風すら味方に付けて、ドラマチックな討ち入りを、この目でしかと見届けました。


15年前の三谷幸喜「君となら」以来の幸福感で
夜10時からのただでさえ極ウマの「銀座・かねさか」の寿司の旨かったこと!
その後、バーで飲んだワインの旨かったこと!


この芝居のことを言いたくて、
友人のサイバーエージェント藤田晋くんに相談しブログを始めました。


疲れたなあ。ブログって疲れる。



ちなみに、俺が熱狂した芝居のベスト・テンは次の通りです。
順不同です。思いつくままに……。

●つかこうへい 「熱海殺人事件」「ストリッパー物語」
「蒲田行進曲」
●野田秀樹 「ゼンダ城の虜」「野獣降臨」
●横内謙介 「夜曲」
それに今回の「つか版・忠臣蔵」
●高泉淳子 「ラ・ヴィータ」
●三谷幸喜 「君となら」「マトリョーシカ」

別格
●宮沢章夫(ラジカル・ガジべリビンバ・システム)
「ここから彼方へ」