・・・どのくらい前のことだったか。

今夜と同じ様な暑い夏の夜だったのは憶えてるけど・・・。


その日は、いつものスナックでいつもと同じ様に飲んでいました。



ただ一ついつもと違ったのは、帰ろうとした僕にママさんが一言


「そこまで送るから!」と言ってくれたことでした。


僕は「いいよ」と言おうと思ったんですが、まあ、たまにはいいかな


と思って、その厚意に甘えることにしました。



二人で店を出ると、


ママさんの腕が僕の腕に絡みつき、「こっちよ!」と帰り道を教えてくれました。


二人で歩いてママさんの何度目かの「こっちよ!」を聞いた後


僕の目の前に、白い壁が灯りのない薄暗さの中にイキナリ現れました。


「あれっ、ここ 行き止まりじゃ・・」


その瞬間、僕の背中は僕の意思とは無関係に壁にくっついていました。


と同時に、生暖かい何かが
僕の唇に激しく触れました。


本当にイキナリだったのと、飲んでいて反応が鈍いのと、


完全に無警戒だったせいで、僕は少しの間その計画的不意打ちにお付き合い

してしまいました。



・・・どのくらい前のことだったか。


今夜と同じ様な暑い夏の夜だったのは憶えてるけど・・・。



         男だけじゃあなかったのね、送り狼って
あせる